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不倫する理由のblacknessfallのレビュー・感想・評価

不倫する理由(2019年製作の映画)
3.3
大手銀行員の夫と画廊のスタッフでキュレーター的なことしてる妻が各々不倫する地に足のついた適度に下世話でエロいヒューマンドラマチックなメロドラマだぜ。

理由っつてもそこをさして深掘りしたりせず、所謂ミッドライフクライシスと中産階級的なライフスタイルの渇きをステロタイプな演出で処理して後は色々グチャグチャエロエロして「やっぱし普通が一番♥」てなり夫婦の絆が戻るというどこを切っても見たことあるヤツだ。

なんか韓国映画なのに派手で笑える修羅場とか劣情ギンギンな濡れ場がなく、けっこうそういうシーンがあっておっぱいも適度に出てくるんだけど淡白で上品なんだよなぁ。
韓国らしいなと思ったのはキャスティング。主演夫婦、夫の方はオ・ダルス系の本当にしがないおっさん感あるし、妻の方も何気にスタイルが良くセクシーなんだけど妙に庶民的で小動物的な気の弱そうな顔相の女優で、彼女の不倫相手は夫の銀行の副頭取、この副頭取が常に複数人を愛人にしてるヤリチンのクズおやじで、彼女はコイツにいいように弄ばれ、ザ・都合のいい女に調教されるわけなんだけど、如何にもそういうことになってしまいそうな説得力のあるルックスと演技でフィクションを超えた生々しさを放っていた。何とも居たたまれない気持ちになった。どんなライトな作風でも嫌みを付ける韓国映画って感じがした笑

しかし、韓国映画ってより昔の日本ドラマのような空気感が強い。おっぱい抜いたら、まんま80年代の日本の不倫ドラマの金字塔『金曜日の妻たちへ』なテイストなんだよ。

『金妻』も本作も中産階級の夫婦の懈怠や渇きを不倫で埋めるストーリーだ。
日本では『失楽園』以降、この手の金のある大人の性愛にスポットした作品て減った気がする(失楽園にしったって初老のジジイの性だからちょっと違うが)。
経済状況の差なんだと思う。新自由主義の名の下に労働者を使い捨て富裕層と政権周りにだけに富が集中する政策を取り続ける政権を馬鹿の一つ覚えのように支持し続けてた結果、中産階級がほぼ滅亡したオワコン国家の我が国ではこういう話の需要が減ったからだと思う。中産階級に限った話じゃないが日本国民の大半がよく仕上がった奴隷なので自分が恩恵を受ける側だと惨めさを誤魔化し現実を直視せず奴隷主の権益拡大に寄与し自分達をより貧しく惨めな状態に押しやった。愚かで卑屈な連中せいでこの程度のエロいメロドラマも自国産では観れなくなったわけだ笑
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