甘口パンダ

プロミシング・ヤング・ウーマンの甘口パンダのレビュー・感想・評価

4.0
今回の映画鑑賞について、印象的だったことをみっつ。


ひとつめは、filmarksのレビューを読んでいて、今回ほどレビュワーの性別を何となく嗅ぎ分けてしまう(意識してしまう)映画はなかった、と思ったこと。

妙に客観的で、行儀の良いレビューをみると、あ、この人男性かなとか感じたりしました。「脚本が良い」とか「演技が、、、」とかね。「コンディション良い時に見てほしい」とか。復讐“エンターテイメント”っていう言葉選びとか。(すいません偏見ありですかね💦)

閉口してレビューすら残さなかった男性もいるかもな〜。男が悪く描かれているというレビューもあったけど、私からしたら、「随分優しげな男ばっかり出てくるな〜」だった。ちょっと感覚が違いすぎて衝撃。

反対に女性は、女性だということが(無意識にでも、あるいは露骨にでも)どこからか匂う感じのレビューが多かった。もちろん全部じゃないけれど。


ふたつめは、自分の中にも確かにある“ジェンダーバイアス”の存在を、見とめたということ。

映画の前半から「あーこれ、監督は絶対女性だな」と思った。なんで女性だと確信したのか。どの部分が、私に「男性のわけがない」と判断させたのか、これ、私のジェンダーに対する偏見のかけらだと思いました。

まぁそれを言うなら、レビュワーを男女に振り分けてる時点で結構偏見あるかもですね。。敵対したい訳ではないのに。

色々考えているうちに、自分の中には、こういう題材を男性が提起するわけがない/できるわけがないとかいう、ちょっと男性に対する攻撃的なものが潜んでいるのかもって感じるようになりました。抑圧された、怒り?みたいなものが自分のなかにもあるのかもしれない。キャシーは絶対、“アレ”をちょん切ると思ってたし。キャシーがメスを手にとったとき、皆さんどう感じました?「ギャ〜!」とか?「何する気⁉︎」とか? 私は「あ、ハサミじゃないの?」だった。「ハサミの方が簡単よ〜」って。


みっつめは、そんな私も、当事者を傷つけてしまう人に、なりうるんだと感じてしまったこと。

私の周りにも、男女平等というトピックに熱い女性がいるけど、私は、発信力の強さとヒステリックな度合いが、どうしても、比例していると感じてしまっていて。声高に訴えられると、それを煙たくも感じている。他人事じゃないのに、他人事になってる。

そして、自分の娘がキャシーなら「いつまでも囚われていないで、あなたの人生を、、、」って言ってしまいそう。

自分がニーナなら、あるいは自分の娘がニーナなら、絶対に忘れられないし許さないと思うのに。それこそハサミの出番ですよ。



アメリカの映画配給元フォーカス•フィーチャーズの責任者が、「観客の皆さんには、好きか嫌いかにかかわらず、必ず見に来ていただきたい」とコメントされたそうです。

重いテーマをポップに映すことで、むしろテーマに(真面目に)向かい合いやすくなっていると思います。決して「面白い」という形容詞は付けたくない映画、爽快さも私的には皆無です。でも、皆さんも是非。


私は同害報復とハムラビ法典と正義について、もう少し考えようと思います。ハサミは使わないキャシーの「正したい」心を、もう少し理解したいです。
甘口パンダ

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