やた

プロミシング・ヤング・ウーマンのやたのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

親友を死に追いやった人間と、同じようなことをする男に鉄槌を下す復讐ものかと思ったら、事件に関わった人間は男女問わず復讐していくストーリーで、そこがとても良かった。
女性が被害に遭う事件だからといって加害者は男性だけではないし、傍観者や助けを求められて何もしなかった人間も同罪なんだと強く思わされた。

性加害の事件で必ずと言って起きるのが
「そんなになるまで酔う方が悪い」
「そんな服装をしているから悪い」
「そもそも危険のある場所に行くのが悪い」
というセカンドレイプで、それをきちんとひとつずつ潰していく復讐の描かれ方がすごく巧みだと感じた。
映画を観ていると、自分の中にも
「そんな無防備だと危ないよ」
「そこまで酔っちゃったら…」
「成績優秀な子がなんでそんな飲み会に行ったの?」
という思いが都度生まれていることに気づいて、(いやいや、だからってレイプしていい理由にはならない!)とハッとさせられる。
この固定観念はいつから自分にあって、どうして自然に出てきてしまうんだろうと怖くなるし、その度にこの作品を思い出さないといけないと思う。

ただライアンが言った「自分には恥ずべき過去はないのか?」が心に残った。罪に問われないものでも他人を深く傷つけたことはほとんどの人がきっとあると思う。許されないと思うことでも、自分の身を守るために笑って傍観者にならざるを得ないこともあるから、二度とそうならないように進歩するしかないけど、でも取り戻せないものはあるし…とずっと考えてしまう。

キャシーの家はお母さんの趣味であの内装になってるとお父さんが話していたけど、ロマンチックなゴシック調(?)の部屋で、バラ柄のカーテンがかけられた部屋で淡々と復讐の計画を練るキャシーが、ニーナを失くした時から時間を進められなくて、ずっと"少女のまま"だと描かれているように感じた。

男性だから女性だからというくくり方はしたくないけど、殺害を隠蔽しようという時の男二人の幼い連帯はなんだかすごく見覚えがある気がしてうんざりした。
やた

やた