えいがうるふ

映画 えんとつ町のプペルのえいがうるふのレビュー・感想・評価

映画 えんとつ町のプペル(2020年製作の映画)
2.0
そもそも作品の成り立ちが色々と気に食わなくてスルーしてきたが、それはそれとしてとりあえず色眼鏡を外して鑑賞してみることに。

作画と映像技術には文句はない。ただ眺めているぶんにはとても綺麗。いろいろ言いたいことはありましょうがオーダーに沿って仕事をこなした職人の皆様に敬意をこめてスコア全振り。
が、キャラにしろストーリー展開にしろ「ほらみんなこういうの好きでしょ?」と思いついた断片的なシーンを強引につないでいくような脚本にかなりの違和感。監督が人気作の人気シーンをあれこれ挙げては「でさ、ここで○○みたいな感じの絵が欲しいんだよね〜」と職人さん達に無茶振りしまくる制作会議の様子が目に浮かぶような・・。
そんなだから、折角の見せ場っぽく挿入されるシーンもバランスの悪さだけが印象に残ってしまう。ここでそんな尺割く余裕があるなら、登場人物のキャラクター描写や人物相関の背景を伝えるとか、もっと他にやることあるでしょ?と思うこと多々。当然ながら世界観ブレまくりなのでディティールの粗を挙げたらキリがない。

なにより、後半のクライマックスで主人公たちがなんやかんや頑張っているシーン全体に長々と泣かせナレーションを被せてくるのが鬱陶しくて映像に集中できなかった。
ターゲットが無垢な子どもなのか大人になりきれない夢見がちな大きなお友だちなんだか知らんが、これほどまでに「こういうこと伝えたくて作ってます!こういうふうに受け取るのが正解です!」という作り手の思惑を模範的読書感想文のような感動ポエム垂れ流しでゴリ押ししてくる映画も珍しく、その身も蓋もない作りに苦笑。
よほど視聴者の理解力をバカにしているのか、そもそも伝えたいことを言葉に頼らず映像で伝える自信がないのか、とにかくここまであからさまに受け取り方の「正解」を視聴者に押し付けて来られると個人的にはかなり白ける。

ただ、こうした作りのメディアにも素直に感動できる汚れなき心を持つ人々、とりわけ、夢を見よう!叶えよう!といった自己啓発セミナーばりに分かりやすい惹句に心酔できる御しやすい人々にターゲットを絞り、ビジネスとしてその先の目的有りきで作っているのだとしたら、そのマーケティングの狡猾さと潔さには感心する。うん、すごいねー(棒読み)