トトロイ

るろうに剣心 最終章 The Beginningのトトロイのレビュー・感想・評価

3.7
【漫画×時代劇=新たな可能性】

これまでの4本とは明らかに違うテイスト。
漫画原作というより藤沢周平の時代劇のような感覚でしたね。

『龍馬伝』で大河ドラマの質を大きく引き上げた大友啓史監督ですが、このThe Beginningを通じて、今度は漫画実写化映画の新境地を切り開いた様な気がします。

ここまで漫画原作であることを忘れさせてくれる作品は初めてでした。

今作は、幕末と明治、多種多様な志が渦巻く時代に平和な新時代をもたらそうと奔走した剣客、緋村剣心の人斬りとしての姿を描いており、かなりシリアスで重厚感のある作品に仕上がっています。

それ故に、これまでのようなアクションの爽快感やテンポの良さ、俳優のコミカルな演技などは殆どないので、過去作とのギャップに違和感を覚える方もいるかもしれません。

ただ、断言できるのは、内容は今までで一番濃くて深いです。

この物語をシリーズの最後にもってきたのは正解だと思います。
観賞後、るろ剣という作品への理解がさらに高まると同時に、1本目から見直したい衝動に駆られました。

舞台が幕末だけあって、新撰組や長州の面々など誰もが知ってる有名な志士たちが登場するのも面白かったです。
新しく加わったキャストの皆さんも、かなり世界観に馴染んでいましたね。るろ剣は本当にキャスティングが上手い。

特に有村架純さんの存在感が圧倒的でした。
とても優雅で美しかったです。

佐藤健さんも、剣心と抜刀斎という二つの姿を見事に演じ分けていて、圧巻でしたね。
もう私の中では佐藤健さん=緋村剣心というイメージが、ロバート・ダウニー・Jr=アイアンマンくらい刷り込まれました。
今後の彼の活躍にも期待したいです。

るろ剣は名実ともに最も成功した実写化作品となりましたが、成功の一番の要因は、『るろうに剣心』という漫画が、邦画の時代劇に通じる題材だったからだと思います。

海外の作品への意識が強すぎるせいか、日本らしさを感じさせる作品が減少傾向にある現代において、
るろ剣、特にこのThe Beginningという作品は、時代劇という映画ジャンルの魅力を再認識させてくれる貴重な作品です。

漫画と時代劇、日本を代表する二つの芸術の融合から、日本映画の新たな可能性を感じました。

最後に、これからも数々の有名漫画が実写化されるのでしょうが、やっぱり派手なメイクやCGが必要な漫画の実写化は極力避けるべきだと思います。

鬼滅とかも絶対やめて欲しいけど、多分いつかするんだろうなあ……。
トトロイ

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