GreenT

17歳の瞳に映る世界のGreenTのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.0
女子高生って大変だなあ・・・と心から同情すると共に、自分もそうだった!とめちゃくちゃ感情移入する映画でした。

オータムは17歳の女子高生なのですが、妊娠してしまったよう。地元のクリニックに行くんだけど、どうもここは中絶反対派らしい。

ここはアメリカ特有の問題だと思うんですけど、保守的な地域では中絶ができない。オータム自身がどうしたいかは考えてくれず、中絶がいかにひどいかというビデオを意思に反して見せられたりする。

高校生の時、「妊娠しちゃったかも」と思ったときの恐怖は計り知れない。私も経験がある。お金もないし、親にバレないように中絶なんかできるのか。17歳で子供が欲しいなんて思う子はいないと思う。

「自業自得だ」って言う人があるかもしれないけど、この年齢って間違いを犯して色々学んでいく時なんだから、ここを大人が上手く導いて上げるか、社会が上手く導いて行ける制度があるべきなのに、政治的・宗教的な目線の制度しかない。

しかし今はインターネットが進んでいるから、色んなこと調べられる。オータムも、ニューヨークでなら中絶できることを知る。州とかで中絶禁止にしたからって中絶が減るわけじゃない。こうして抜け道を探して、もっと危ない、怪しいサービスを受けるハメになる。

本当に中絶をなくしたいなら、男を教育するべきだ。中絶禁止にすることによって女の子はもっと危険にさらされる。

この映画に出てくる男性は、全てプレデター的に描かれている。オータムの同級生の男の子たちは性的な言葉で彼女をからかう。お父さんは、実父なのか、お母さんの再婚相手なのかわからないけど、オータムをバカ扱いする。バイト先のスーパーの店長は、オータムの手にキスしたり、「君がいないと寂しいよ」なんて気持ち悪いことを言うセクハラ男。中絶するためにニューヨークへ向かうバスの中では、ちょっと年上の男の子がナンパしてくる。ニューヨークの地下鉄では、スーツを着た男が、オータムの目を見つめたままズボンのジッパーを下げる。

オータムがとても無口で内向的なのが良くわかる。若い女の子は自然に笑ったり、自分を表現したりするととてもまぶしいんだけど、そんな風に美しければ美しいほど性的な標的になる。野生の動物と同じ。美しい動物は捕えられ、動物園で見世物になる。

セリフも少ないし、起承転結がないので退屈するかと思いきや、オータムがいつ男にレイプされるか、悪い男に捕まるんじゃないかとハラハラして、画面にくぎ付けになる。特にニューヨークのシーンでは、中絶するのに2日かかることが分かって、お金のないオータムとスカイラーは、一晩中サブウェイに乗り続けたり、駅で過ごさなければならない。

でもこういうこと、若い時はできるんだよなあ~なんて思った。私もこんなこと平気でしていたなあ。徹夜で行くところもなく、繁華街でウロウロしてた。でも危険だなんて思わなかった。これを観てハラハラしているってことは、私も母親のトシになったってことね(笑)。

スカイラーって言う友達がいて良かった!と思った。一緒に中絶に付き合ってくれる友達なんて、いい友達だよ。あと、ニューヨークの中絶センターの人は悪い人じゃなさそうだったので、めちゃくちゃホッとした。

続きはネタバレになってしまうので、コメント欄で!
GreenT

GreenT