拓風

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実の拓風のレビュー・感想・評価

3.8
まず三島由紀夫の話のうまさとユーモア、人の意見をちゃんと飲み込む姿勢が大変興味深かった。

もっと殺気立ったものかと思ったら、互いに笑いながら、敬意を持ちながらの議論。

学生も頭が良いんだろうなと言う言葉と話題で、もはや哲学論議の様。

不勉強な自分が個人的には感じたのは、三島由紀夫が考えてるその先の事、これからの有り様と言うものが学生側からは見えて来ず、行動が目的で、その時点で意義あるものとされていたのかなと思った。
本当に革命が目的ならば、とにかく行動を起こすのではなく、辿り着くためにいかに行動するかが大事で、また打倒の先にどうしていくのかと言うことも含めて革命と言えるのではないかなと。
その点で三島由紀夫と学生との間に差異があり、この年齢と経験で見てると三島由紀夫の言うことの方に頷ける気はする。
また芥氏の退場、途中で割って入った学生の言葉もさもありなんと思う。

楯の会の人たちにもインタビューされていたけど、個人的にはあの会場にいたその他の学生たちのその後の考えがもっと聞きたかった。

運動に参加して、あの場にいて、あそこから何を感じてどう生きたのか、またあそこで同じ経験をした他人の生き方、今の世界をどう思うか、それこそ総括したものを聞きたいと思ってしまった。

今の学生生活や社会生活では経験できないものを経験し、今では失われた、もしくは薄まってしまったとも言える考えやイデオロギー、言葉の力に触れた人々は、今何を思うのだろうか。
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