回想シーンでご飯3杯いける

パピチャ 未来へのランウェイの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

4.0
'90年代のアルジェリアを舞台にした実話映画。クラブでテクノトロニックが掛かっててテンションが上がるも、その後の展開は想像を絶するハードなもので、グイグイ引き込まれた。

ファッションデザインに夢中な女子大生に忍び寄る、イスラム原理主義によるテロの脅威。街中にはヒジャブの着用を強制するポスターが至る所に貼られている。この状況に強い疑問を感じた主人公が、思想の自由をアピールすべくファッションショーを開催するまでの様子を描いている。

印象的だったのは、古典的な宗教観を利用して思想を統治しようとしているのは、イスラム原理主義者だけではなく、一般の男性や女性も含まれているという事。若い世代は学校教育の中で海外の文化や思想を学んでいるものの、それが広く認知されるには至っていない。

このファッションショーでは、伝統衣装であるハイクのアレンジをコンセプトにしている事に着目したい。原理主義者からは風紀を乱す存在として異端児扱いされる主人公もまた、国を愛する1人なのだ。彼女の夢が叶わずして、真の平和は訪れない。