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パピチャ 未来へのランウェイの8637のネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

彼女達の夢物語以上に描かなければいけないものがある。
恐ろし過ぎる出演者の眼。衝撃の青春。知るべきトラウマを幾度植え付けられた。だが抑圧に飲まれぬ誰かの勇気は何かを変える事もある。
ラスト15分、最明のファッションショーの最中の恐怖に、上映を中止させた本国政府の思いを見た。

日本ならありえない危険さを持つ検問シーンから始まるこの映画。
社会問題に観客の共感をプラスした立派なエンタメ。
裸のような衣装の基準やファッションショーの危険さなど初めて考えた。
姉を見送るシーンはトラウマ以外の何でもなかった。
人が輝きに出る瞬間を何度も間近で見ていたネジュマの思いがピアノ曲に現れていたりして、とても映画的なのだ。

口約束はすぐに崩壊する。僕は人生経験でこれを起こさない事に重きを置いていた人間なのでよく分かる。自分が熱中して命をかけたものが一瞬で壊れる時、もしかしたらこれが一番残酷かもしれない。
男が女の人生を決める権利がどこにある。女が男に連れ添っていかなければいけない時代の話だからこそ伝わる。
いつでも彼女らを慰め、風習を教えてくれていたのはお婆ちゃんだった。お婆ちゃんの愛が本当に寛大で、映画に登場するテロ勢力に対して唯一の優しさのような気がした。
また、ファッションショーの交渉シーンでの躍動感ある「セッション」以上のリズムセッションは、負け犬の遠吠えのような気もするけど是非劇場で体感して下さい。
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