氷雨水葵

マリグナント 狂暴な悪夢の氷雨水葵のレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
5.0
2023年リライト43本目

控えめに言っても最高(n回目)

◆あらすじ
マディソン(アナベル・ウォーリス)はある時から、目の前で殺人を目撃する悪夢体験にさいなまれていた。

やがて、殺人が現実世界で起こるものだと知ったマディソン。

犠牲者が出るたびに殺人現場を疑似体験する彼女は謎に迫るが―――。

◆感想
映画館で観た当時も同じことを言っていた気がしますが、今観ても「最&高」「さすがジェームズ・ワン」という感想が出てくるほど素晴らしい作品。

なにが素晴らしいって、すべてがオリジナル脚本であるということ。原作がないにもかかわらず、これだけの内容&キャラクター設定&オチを考えるジェームズ・ワン監督ほんまに好き。『死霊館』や『インシディアス』シリーズなど、数々の作品に参加してきたジェームズ・ワン。当時のインタビューでは「ホラーへの原点回帰をしつつ、今までにないジャンルを作りたい」と言っており、本作はその通り、というかむしろその期待をはるかに越えてくるクオリティで当時はびっくりしました。過去のホラー作品は先が読めたり、結末が似たようなものが多かったのですが、今作は最後までドキドキしながら観れます。ヒリつくようなホラー演出に時々グロもあり、かと思えば突然のアクションシーン、どこかで実際にありそうなオカルトちっくな出来事などなど、さまざまな要素が詰め込まれていて、満腹感を感じる最高の作品に仕上がっています。

個人的によかった部分は、やっぱりカメラワークかな。ジェームズ・ワン監督の過去作品でもあったような、思わせぶりなカメラワークが好き。とくに、主人公マディソンを上から撮っているシーンは、箱庭みたいに一部屋一部屋映るので新鮮な感じ。また、刑事のケコア・ショウが”黒い彼”とチェイスしているシーンもアングルやスピードが絶妙で夢中で観てしまいました。作品全体に不穏な雰囲気を醸し出す音楽も加わり、より恐怖体験ができます。

作品の内容というか設定としては、この世界のどこかであってもおかしくない真実(語弊があるかも)が描かれています(ぜひ本編を観てね)。
犯人はわかっているのに仕組みがわからず、真実を知ったときは「そういうこと!?」となりました。マディソンがそうなってしまったきっかけや過去、衝撃の真実に驚きを隠せない。てか、オープニング映像にフラグ(ネタバレ)ありすぎじゃない!?描き方が上手すぎるよぉぉ。ジェームズ・ワン監督が好きだから、贔屓目にみている部分もありますが(笑)

序盤は静かなテンポで進んでいき、中盤以降は徐々にスピードアップしていった印象。”黒い彼”がとにかくスピーディーなのでそう感じるのかも。
真実を知っても「最後はどうなるのか」と終着点が分からない演出が良くて、こんなごった煮(闇鍋に近い)状態なのに胸やけを起こさないというのも不思議で、やっぱり監督の手腕というかセンスなのかな!また、アクションシーンがいくつかあるものの、そのどれもが無駄がなく良いっ!!どの要素のシーン(ホラー、グロ、アクションetc)も個人的にぶっ刺さりまくるから、それもまた良いっっ!!!!こうして感想を書いているときも興奮を隠せないし、なんなら1人でニヤニヤしていますが、本作はそういう作品なのです!

18禁になるほどの演出はなかったように思えるのですが、18歳以上の方にはぜひとも観てほしいです。タイトルの「マリグナント(悪性)」は、ばっちりハマってます。
氷雨水葵

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