mende

ミナリのmendeのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.9
韓国からの移民家族のアーカンソーでの苦闘、持病のある子ども、個性的な祖母…A24だから大丈夫だろうけど、まさかベタな泣かせる映画じゃないよねと、かすかに疑っていたが抑制のきいたトーンで家族の姿が描かれていた。

父であるジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は家父長制の名残りを感じさせ、大事なことを一人で決め、強い父であること=成功にこだわり、家族に犠牲を強いる。表情豊かで近寄り難い父親ではないが、妻(ハン・イェリ)とは次第に対立する。

そんな中、韓国からやってくる妻の母(ユン・ヨジョン)。信仰心が篤く、自宅でひよこの選別の練習をするくらいまじめな娘とはえらく性格が違う。朝鮮戦争で苦労し、娘を育てるために働いてきたのだろう。そんなに上品な仕事ではなかったろう。家事もできないし、字も読めない、花札とプロセスが好きで口が悪い。手癖も悪い。甘栗のシーンでは孫のデヴィッドと同様に観客もドン引きさせる。
およそハルモニらしくないが、この映画のタイトルになっているミナリの種を韓国から持ってきて、川辺に植えるのはこの人だ。

ユーモアを交えながら淡々と進むが、終盤に大きな事件が起きる。
そしてなぜミナリというタイトルなのか、納得させられる。
mende

mende