akihiko810

ミナリのakihiko810のレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.7
「ミナリは雑草みたいにどこでも育つ」
アメリカ映画。韓国移民農家の家族の話。
ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞。

1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブは、アメリカはアーカンソー州の高原に、家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカは、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のデビッドは、新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に、思いもしない事態が立ち上がる──。

「ミナリ」とは韓国のセリのこと。物語中でおばあちゃんが植えた植物。
本作は、アメリカンドリームを夢見て移住してきた韓国系移民の家族が、現地の人と仲良くなったり、家庭内の不和を乗り越えたりしてどうにかやっていく話。
自分勝手な男に愛想尽かす妻との関係や、風変わりな祖母と身体が弱い孫との関係、宗教、民族の差別など、テーマはかなり織り込まれているのだが、その一方で地味に淡々と物語は展開されていく。
その中でパワフルなおばあちゃんが存在感を見せつける作品である。このおばあちゃんのユン・ヨジョンは、アカデミー賞助演女優賞をじゅしょうしたらしい。
話の根幹はコメディタッチなのだが、夫婦の関係性が冷えていて、農業も結果が出ないため、黒い笑いしか出てこない、どちらかというと暗い作品だったのが残念か。

とはいえ、「ミナリ」のように根を張った関係性を得た「移民一家」の物語はしっかりと描かれていたので、作品としては文句はない。
日本人なら、真っ先に名作ドラマ「北の国から」を連想するだろうが(田舎移住、ダメ父)、「北の国から」の方が強度は強いと思う
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