ののな

事故物件 恐い間取りのののなのネタバレレビュー・内容・結末

事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

顔ファンしかいなさそうな最強顔面のお笑いコンビ、「ランチタイムは15時まで!」ジョナサンズ。なんと顔ファンすらいません……信じられない。売れなくてコンビ解散後、崖っぷちピン芸人のヤマメが番組の企画で事故物件に住むことになり...というのが簡単なあらすじ。

モデルになった、本物の事故物件住んでみた芸人である松原タニシさんは現在10軒目の事故物件にお住いのようで。実際に松原さんがいらっしゃる場所には電気系統のトラブルが起きるらしく、ばっちり呪われちゃうみたいですね……。

冒頭、亀梨さんの綺麗な女装(なんとこの女装は、「すべっちゃってる感」を出すための亀の提案です……流石、めちゃくちゃ雰囲気出てました)と共に、なんか全然おもんくないコントが始まります。小さい劇場守ってくタイプの芸人さんやで...。対して売れっ子コンビ、「にくせんしゃ」のウケ具合がすごい。やっぱり見た目のお笑いってあるのかな~。でも亀にも瀬戸康史にも顔ファンがいない世界線が信じられません。でもガワが亀でこんな売れない芸人だったらめちゃくちゃ嫌だな...この、最初の方のヤマメくんが本当に鈍いっていうかこれは売れないなって感じの会話の遅さ、テンポの悪さでうますぎる!亀すごい!

瀬戸康史さん演じる相方の中井くんも魅力的です。あんなに性格の良い相方います?この中だと、見える見えないも含めて、一番事故物件に対する正常な認識を持っています。

奈緒さん演じる小坂さんは、俗にいう「見える」体質で、本当に可哀想です。「恐怖顔」がうまい!

一軒目:女性が殺害された事故物件かつ違法建築
殺害された女性と、それを殺した犯人(死刑執行済)が出るんですけど...執行早!そんな昔の物件には見えないしなあ。
このパートで語られる、ヤマメが笑いの道を志した原体験がめちゃくちゃ良いです。この二人、酒の席だとおもろいのになあと考えさせられます。あと、中井くんも一緒に事故物件に住むようになります。謎の安心感。

二人揃って交通事故に遭っちゃって二軒目を探すことに...。
訪れた不動産屋さん、渋澤不動産に、なんと事故物件担当の方がいて、江口のりこさん演じるこの業者さんがたくさん提供してくれます。

二軒目:母親殺し
ここまでわざとらしい事故物件あります……?老婆がふんわり現れます。
小坂さんの心理的負担が大きすぎ。
ここで中井くんのご両親に災難があり、退場(故郷へ)。ヤマメくんは1人になります。

三軒目:ロフトが怪しい?首つり自殺物件
早速首吊り死体の影響を顕著に受けちゃいます。この人、常人なので幽霊への耐性はやっぱり薄めみたいです。そんな中東京進出が決まり、引っ越すことに。この時紹介されたとっておきの物件について、絶対にやめた方が良いと言う小坂さんをヤマメは突き放してしまいます。死ぬかもしれない可能性と、絶対にお金が入る仕事とで後者を取ってしまうんですね😢
良くない霊の影響を如実に受ける体質らしく、そこら辺にいた高田純次さん演じる宮司さん(めっちゃ良いキャラしてる)にもいっぱいいるから気をつけな~とお札を頂きます笑

四軒目:カップル無理心中物件
なんと家に着いた瞬間気絶しちゃいました💦そのくらい強力ということなんでしょうか。多少変なことがあってもヤマメはものすごい図太く、配信とかしながら平気で暮らしてます。でも、見える小坂さんからすると完全に呪われています。

そして実際に記憶にないお化けまでいっぱい出てくるシーンは圧巻というか、見せ場というか、ここまでくると面白い!残穢とか貞子vs伽椰子とかみたいな、引っ越し先にも怪異が付いてきちゃったり、触れた穢れをみんな連れてきちゃうみたいな!唯一の頼みであるお守りが四散するシーンもめちゃくちゃ面白かった!分かる!(?)って感じで!少年漫画みたい!あと、このシーンで何度もふぅ~って頑張る中井くんがめちゃくちゃ可愛いです笑笑笑「画面全体瀬戸康史!」って感じで、本当に可愛い!!ここだけでも見る価値あります!瀬戸康史さん自身も酸欠になりながら闘ったそうです!

最後、なぜか(?)ヤマメと小坂さんは付き合うことになり、同棲のために怖くない物件を探す......という晴れやかな(?)展開で終わります。
小坂さん、本当に可哀想です……養生してください😢

特筆事項
〇亀梨和也さんというとやっぱり貴族みたいな王様みたいな、とにかくキラキラ、いやギランギランな印象が強く、総じてこんなに生活感のある姿を見ることが出来ることが大きな見どころ!あの亀が売れない芸人で、握手したくない握手をして、写真撮影とか応じてっていうのがなんか面白いです笑
〇何故か亀のシャワーシーンがあります笑笑呪怨オマージュ?亀はもっとムキムキなので役作りで太ったのかな?と思います😵
○亀の関西弁は、関西弁というより松原タニシさんにそっくり!!!
〇テレビ局の嫌な雰囲気も大きな見どころかと思います。というか、あの雰囲気の会社いっぱいありそうなのが嫌すぎる…。
〇たっくさん芸人さんがでているので、好きな人にはもっと楽しめると思います!
〇奈緒さんの怖がり顔がすごい!目がすごいです。
〇ホラー演出はなんというか、小さいころに想像してた感じというか。その点で再現性が高いです。
〇ボディポジティブのアイコンとして活動しているバービーさんを、典型的なデブキャラの役割にあてがう采配は見事です😅
〇メイクさんの仕事をしている小坂さんの上司のMEGUMIさんがかっこいい!
〇あの業者さん、心配してくれてたんだ!ってほっこりしました(まあ事故物件住んでくれる優良顧客だから逃したくなかったんでしょうか笑)!
〇戦うシーンでの傘の使い方がすごいいい!最初のあれが生きてくるのが良いですよね~お笑いで退治ってメッセージもあるんでしょうか?

この作品のパンフレットがすごくいいんです。「カメラを止めるな!」でも思ったことなんですが(そういえば真魚さんがご出演ですね)、あんまり怖くないかもなとかもっとこうすればいいのにとか思われている作品も、作り手側にとってはすごく大切な、こだわったものなんですよね。最後の退治シーンで使われる傘の演出だとか、誰かが気持ちを込めてないと存在しないと思うんです。パンフレットを読みながら改めて見てみると、それぞれの間取りや演出のこだわりやホラー映画初主演となる亀の思いだったりが詰まっていて、温かい気持ちになりました。

最近色々ありまして、どんなに頑張っても心を込めても客観的な評価が重要だしそれ基準でしか意味がないと思いつつ、どんなものも誰かにとっては大切なんだと感じることが多いです。制作側の努力とかガン無視でおもろい!って言える映画も良いですけど、こういう映画もいいですね😊

いやあ、本当に、観賞する側の精神状態によってものすごく評判が変わりますね。ちょっと前だったら「瀬戸康史くん可愛い!笑」だろうし、もっと大人になったら「瀬戸康史は可愛いが、肝心のホラー演出は…」とかで終わっちゃってたかもしれません。良い時に出会えました😌
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