Sachika

サンドラの小さな家のSachikaのレビュー・感想・評価

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)
3.9
子供たちに帰る場所を。
夫のDVにより住む場所を失った母親が、子供たちの為に、ネットで得た知識と希望を持って、自らの手で家を建てる。
シングルマザー、貧困、住宅不足、社会的な問題が多く降りかかる中で、つらくても、悔しくても、絶対に揺るぎなく子供たちの"母親"でいるサンドラが、単純に素敵だと思った。

何度だって出発しよう。
例え失敗だとしても、家族が一緒なら絶対にまた出発できる。
そんな希望を与えてくれる様な、再生の物語。
また見返りなくサンドラを助けてくれる仲間の存在や、彼女自身の努力に胸が熱くなった。
不正や間違いには声を上げることが大切。
そして小さき者の声に耳を傾けることも大切。
学ぶものが沢山あった。

つい比べてしまうのだけど、同じように夫のDVで子供と3人、家を失った母親の話で、昨年『ニューヨーク 親切なロシア料理店』があったけど、こちらは親切なニューヨークの住民に甘んじて、自分しか見えていない母親が好きになれなかった。
本作では一から自身で何とかしようとするサンドラの姿、それに感化され助けようとする人々の相互関係がよいなと思った。

それから中途半端にしか知識がないから上手くいえないけど、舞台がアイルランド・ダブリンって言うのは意味があるのかなって考えてた。
アイルランドの歴史を考えた時に、自分たちの家や帰る場所、自分たちの国を守るという、信念のような物が根本にあるのかなと。
どうしても故郷とか「帰る場所」に固執する感じが、国民性なのかなと。

終わり方には賛否あるように思えたけど、サンドラならきっとこれから幸せに暮らしていけるはずだ、と強い希望の光が見えた。
Sachika

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