柊

サンドラの小さな家の柊のレビュー・感想・評価

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)
3.7
DV夫から逃れる作品は「ニューヨーク親切なロシア料理店」に続き2本目。今年このテーマ多いね。

どちらも、DV夫がちょっとカッコ良し、そして妻が被害者ながら素直に心を寄せられない描かれ方。何故でしょう?
まぁだから当初はダメ男と気付かずに恋に落ちるんだろうと思うし、ちょっと危うい雰囲気に惹かれるダメ男好きな女性がいるんだろうね。

それにしても、周囲の人がみんないい人すぎて、毎週末ボランティアに来てくれるなんて…信じられないくらい恵まれている。
なのに、悪態をつくあたりがどうにも…裁判所で激昂しちゃう所も…そういうコントロール不可な部分がサンドラの未熟な所なんだろうな。

でも、そうは言ってもあのDVは怖い。フラッシュバックするシーンも多用していたけど、当事者にとってはそう簡単に忘れることはできないよね。それでも一生懸命、週末夫の実家に子供達を送り届ける、そうしなければいけない状態がまず不快だった。裁判所での質問も同。彼女は責められるのに何故DV夫の悪行は判断材料にならぬのか?女性の地位を初めから低く見ているようでとても不愉快だった。法とは決して平等ではない事を見せつけられる。
夫側に付く弁護士が女性なのも何か悔しい。それでも、不利になると分かっていても、モリーの異変に気がついて彼女の心を守ったサンドラは頼もしい。ようやく念願のお家がと思った矢先の…悪夢だと思いたい。

最後に夫のお母さんの告白で、DVの連鎖がそう簡単には無くならない事を思い知らされるのが何とも痛ましい。
でも生きていれば、子どもが成長する。その逞しい姿に明るい未来を想像した。
小粒ながら良い作品でした。
柊