緋里阿純

マーベルズの緋里阿純のネタバレレビュー・内容・結末

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

『ミズ・マーベル』や『シークレット・インベーション』等、ドラマシリーズは未視聴。しかし、鑑賞する上で最低限の説明は成される為、ギリギリ着いて行ける範囲か。

前作が、キャロル・ダンヴァースが不屈の精神によってMCU最強のヒーロー「キャプテン・マーベル」に覚醒する物語だったのに対し、今作は自らの行った正義の過ちと後悔をモニカとカマラに吐露し、チームとして解決に当たるという人間味溢れるキャロルが描かれる。
また、途中挟まれるミュージカル要素や105分というコンパクトな尺等、全体的にコミカルで肩の力を抜いて鑑賞するのがベストな印象。

とはいえ、そういったミュージカル要素が果たして今作に必要だったのかは疑問。王子役のパク・ソジュンの無駄遣い感も含めて。
また、コミカルな作風に対して、今作の敵はキャロルの行動が引き金となって死滅寸前となってしまった惑星の救済を図るというシリアスな目的があるので、作風に対してのミスマッチさは拭えない。

キャロル達3人が、それぞれ自身の能力を発動する事で、互いの位置が入れ替わるという今作最大の売りであるはずの面白ギミックも、序盤のワチャワチャ以外では活かし切れていなかったように思う。中盤でスイッチのタイミングを練習する修行パートまであっただけに、クライマックスでの戦闘には大いに期待していたのだが…。
グースがいつの間にか宇宙ステーション内で繁殖して増やした、通称「ニャーベルズ」の活躍が職員の避難活動のサポートのみというのも勿体無い気がした。可愛さは抜群だったが。
そういったノイズとなる部分が多かったからか、コンパクトな尺であるはずなのに、実際より長く感じられた。

ラストのX-MENの参加を匂わせる演出等、今後の展開に期待させる要素もあるのだが、マーベルに限らず「ヒーロー映画」というジャンルが立たされている現状を考えると、イマイチ楽観して乗る事は出来なかった。
世界的な「ヒーロー映画疲れ」が深刻か、今年は『アントマン』やDCEUの『ザ・フラッシュ』といった大作ヒーロー映画の苦戦・惨敗が相次いでいるが、今作も例に漏れず、とうとうMCU史上最低のOP成績を叩き出してしまうという厳しい出足。
映画シリーズとしての長期化に加え、ドラマシリーズのラインナップも増え続ける一方な事から、ファンの疲労や新規にとっての敷居の高さがいよいよシリーズの存続が危ぶまれるレベルにまで来てしまったように思う。

再び世界観のリセットを図るDCに対して、マーベルは如何にして再起を図るのか注目したい。
緋里阿純

緋里阿純