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コレクティブ 国家の嘘のギルドのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.7
【無形の圧力は負の連鎖を生み続ける】
ナイトクラブの火災事件をきっかけにルーマニアの汚職を追跡したドキュメンタリー映画。

久しぶりにドキュメンタリー映画で衝撃を強く受けました。。
ドキュメンタリー映画なのにフィクションを見ているような錯覚を覚える作品の系統としてはマシュー・ハイネマン「カルテル・ランド」、ブライアン・フォーゲル「イカロス」に近いです。
実際、ナイトクラブの火災から始まる追求劇はカルテル・ランドを彷彿とさせ、国家の汚職・黒さはイカロスを彷彿させる…


本作が素晴らしいのはそういった汚職を様々な立場の人間の視線で淡々と捉え続ける徹底的な「中立性」にあると思う。
映画は実質2部構成であり、追求する相手も異なるがそうした中で徐々に見える真実を顕にする姿は論理的で様々な問題提起を与えてくれます。そういった作りは好感持てるし、見終わったあとに考えさせられます。。

長きに渡る「権力腐敗」という構図がどのような悪影響を齎すか?を淡々と描いていて、そこに行き着いた先にある「無関心さ」「強固な堅牢性」「出る杭を打とうとする社会の空気感」を見事に描いていると思います。
これが日本で上映された事も大いに意義がある他人事ではないテーマであり、腐敗の姿/二面性を持つ姿を画面反射やハエの羽音で表現する劇映画要素も含めて熱量の凄いドキュメンタリー映画だと感じました。

映画を見ると世界の一端を追える上に、本作の主題は世界で見ると氷山の一角であることを生々しく伝えるという意味で多くの人に見て欲しい映画です!
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