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コレクティブ 国家の嘘のBATIのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.6
ライブハウスの火災事故に始まり、収容する病院で起きる院内感染と二次三次被害。希釈された消毒液は正に機能不全な病院と政治腐敗の象徴。嘘のような本当の悪夢。「無関心が人を殺す」は臓腑に響く言霊だったが、それすら希釈される現実。既視感で苦しくなる。

ソダーバーグ作品の如きと言う噂は伊達ではなく、編集のキレやショットも本当にドキュメンタリーなのかと思えるような構成で、国家のシステムの機能不全に対して「免疫」の如く自助作用のように起きる告発、ジャーナリズム。臓器交換のように新しく就任する保健省大臣。

ここまでは「シン・ゴジラ」のようなのだが、幕の閉じ方はソダーバーグの作品の如くシステムと社会という病理が待っているのだった。(なんか「THE KNICK」やっぱスゲエなぁという別の感想が込み上げてしまう...。)

火災で手指を失い肌も焼けただれたテディ・ウルスレァヌ自らの肉体を使って表現していく姿、保健相との交流だけは救いのように見えた。カタリン・トロンタンの現実に対峙する真摯さは作品の中でも光っていて、「ゴールはない。」がとても重く突き刺さるのだった。

体制が変わるには一人ではダメで、どこか一部分だけ変えてもダメでしかもスピードも必要になる、しかし「Twitterじゃこうなのに」がここでも見るとは思わなかったので、胃痛がしてきた...。
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