ShinMakita

ビバリウムのShinMakitaのネタバレレビュー・内容・結末

ビバリウム(2019年製作の映画)
1.7

このレビューはネタバレを含みます

小学校教師ジェマと庭師トム。2人は若いカップルで、一緒に住む新居を探していた。ふと入った不動産屋で、店員マーティンから郊外の「夢の家」を紹介され、早速現地に行ってみることに。そこは〈ヨンダー〉と名付けられた建売住宅エリアで、全く同じ形・同じ色の戸建てが無数に並んでいた。そのうちの1つ…〈9番〉の内見を始めた2人は、冷やかし程度にざっとリビング・寝室・中庭を見て帰ろうとする。が、クルマに乗って〈ヨンダー〉の出口に向かおうとしても、いつまでも辿りつけない。ずっと同じところをグルグルと回り〈9番〉に戻ってしまうのだ。結局日も暮れて、クルマもガス欠となり、彼らはやむなく〈9番〉に泊まることにするのだが…

「ビバリウム」。前田美波里は出ません。あしからず。

以下、「私はあんたのネタバレじゃない」「…あっそ」

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「その生物本来の生活環境を真似て作った飼育施設」という意味のvivariunってタイトル自体がもはやネタバレ。そう、ここは人々の「理想のマイホーム」を具現化した家。デザインも色も間取りも広さも、確かに理想的。でもあくまで真似であり、実は飼育施設=檻なのです。

直接的な説明は一切無いけど、宇宙人だか異世界人だか、まぁ未知なる生物が人間のカップルを誘拐して、自分らの子供を育てさせるというストーリーですわな。子供を人間っぽく育てるため(その理由はラストに明かされますけど)養父母は人間である必要があるんだよね。そのために用意された飼育箱がヨンダーであると。世にも奇妙な物語みたいな不条理スリラーではあるけれど、home=家=家庭とは何か?という根元的問いを投げかける映画だった気がします。どんなに完璧な一戸建て、食事、空、雲があっても、無味無臭であればそこは天国ではなく地獄。どんな場所であっても、愛する人といる場所こそが「家」であるという真理にたどり着いたトムのセリフこそ、本作のテーマだよね。
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