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ビバリウムのGreenTのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
2.0
タイトルの『Vivarium』とはラテン語で"place of life" 「生きる場所」の意?で、リサーチや観察のために動物や植物を育てるために、その種類が生きる環境に人工的にコントロールされたエリア、いわゆる「箱庭」?を指すこともあるそうです。

オープニング、鳥のひなが育つところが一番気持ち悪かった。なんか一個だけでっかいのがいて、そいつが他のひなを突き落として自分だけどんどんでっかくなって、最後は餌をやる親の方がビビってるという。

そしたらこれは、他の鳥の巣に卵を産み付けて、育てさせるパラサイト鳥なんだって!普通、ひな鳥が「びゃーびゃー!」って餌を欲しがる様って可愛いのに、このでっかいひなは、不気味で怖かった!

これって、環境に優しく生きたい若いカップルが、結局は知らず知らずの内に画一的で人工的な住宅街に住まわされ、望むと望まざるとにかかわらず子供を育てさせられ、ネット注文の食べ物を食べて、人と人とのかかわりも持たずに、抜け出せないような気持ちで、「自分の墓穴」を掘りながら死んでいく、ってことを暗喩した映画なのかな?って思った。

なんだけど、ジェシー・アイゼンバーグがめちゃくちゃミス・キャストだなあ~って思った。なんか、ハンディマンみたいな肉体労働をしている人を演じているらしいんだけど、全く説得力がない。無精ひげ生やしてぶかぶかのTシャツとか着ているんだけど、あのくりくりの頭!髪型変えればいいのに。長髪にバンダナとか。

アイゼンバーグはプロデューサーにも名を連ねているので、「頭いいけどウジウジして、結構性格悪いヤツ」っていうタイプキャストをぶち破って、違うキャラも演じるために自分でお金出したのかもしれないけど、逆に役者としての限界を感じさせられた。この人は「くだらない映画には出たくない!」って態度が業界で評判悪くて干されているのかな?って思って応援していたんだけどなあ・・・。

お話としては、トムとジェマのカップルが、人工的な集合住宅地に連れてこられるまでが異常に早いなって思った。こここら「無限のループ」と言うか、抜け出せなくなるのがサイコ・スリラーなんだけど、なんか同じことの繰り返しなんだもん。もっとトムとジェマのバックグランドを描写する前半部分を丁寧に描いても、後半の「無限ループ」を表現する時間たっぷりあっただろうに、と思った。

テーマとしては、タイトルの意味と、オープニングのパラサイト鳥の意味どっちもあって、その二つが融合されてなくてモヤモヤした感じだった。けど、ここんとこツッコむとネタバレになっては申し訳ないので、コメント欄で書きます。
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