このレビューはネタバレを含みます
ベルリンの壁崩壊直前に意識不明となった東ドイツの熱心な活動家だった母。
東西ドイツが統一を果たし、東側の人々もコカコーラとバーガーキングとワールドカップに浮かれているころ、母は目を覚ます。
息子・アレックスは何も知らない母にショックを与えまいと、母の部屋だけは東ドイツの生活を再現する…
母のための偽装が、やがてアレックス自身の「母と暮らしたかった理想の東ドイツ」創作となっていくが、母が隠したある秘密がアレックスに決断を迫る…
新たな世界の入口に立ち、引き返すか、扉を開けるか。
実は最も変化についていけなかったのはアレックスだったのかもしれない。
"理想の東ドイツ"ごっこ自体が、演劇療法のようにアレックスのわだかまりを癒し、母の死をもってその役割を終える。
物悲しくも爽やかなラストシーンで、改めて良いタイトルだなと思った。
『グッバイ、レーニン!』
そしてダニエル・ブリュールが素晴らしい俳優であることが、この映画でよく分かった。