Sachika

アーニャは、きっと来るのSachikaのレビュー・感想・評価

アーニャは、きっと来る(2020年製作の映画)
3.8
フランスとスペインの国境近くの豊かな村、羊飼いの家で育ったジョー。
スペインへ逃亡するユダヤ人を逃がさんとする、ナチス軍の監視の目が光る中、亡命の為、この地に集まるユダヤ人の子供たち。
しかしながらそこにアーニャの姿はない。
彼らの越境を手助けする中で、ジョーは戦争の無情さと、人を助ける事の優しさを知る。

アーニャは無事この村に辿り着くのか、そしてジョーは彼らを亡命させられるのか。
それが物語の大筋にあるのだけど、もっと深い所に戦争における善悪や、無常さ等の暗いテーマが隠されていた。

誰が悪いとかではない。
誰にでも平等に、不平等があるのが戦争。
ユダヤ人が何か悪い事をしたわけでもなくドイツ人が全て悪人なわけではない。
良い人が連行されたり、間違った形で殺される場合もある。

戦争映画とは思わせない美しい景色と、穏やかな空気が流れていたけど、ふと気づいたときにこれは戦争なんだと思わせる、苦い余韻があった。

この映画には優しい人がたくさんいるのに、こんなに胸が痛いのは何故だろう。
Sachika

Sachika