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なぜ君は総理大臣になれないのかのblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.7
自民で単独過半数ってマジかよ!?
コロナ禍の只中、たった10万とゴミ同然のマスクだけで見捨てられ、これから消費税率上げて一部の富裕層のためだけの政治に邁進する党をおれと同じような吹けば飛ぶようなしがない庶民がせっせと支持してるとか信じられないよ。
多くの人が呆れて「どこまでドMなんだよ」と嘆いていたな。しかし、確かにドMのなのにマイノリティに加害と言っていい侮蔑的な暴言を吐いた政治家(杉田水脈)の当選を喜んでるし、サイコなサディストな一面もあるよな。
要するに強きを助け弱きを挫く三度の飯より権力と差別が好きな「普通の日本人」がこの国の多数派ってことなんだよな、今まで以上に強欲で下劣な連中が我が物がすると思うと絶望感しかないぜ😩

そして、このドキュメンタリーの主役、小川淳也はそんな利己主義と権威主義に支配された日本の風土では政治家として残念ながら陽の目をみる可能性は低いと思った。
この時代、彼のように本当に私心も党派性もない善良で真面目な政治家は既成政党から疎まれるし、飼い慣らされ自分さえ助かればいいというさもしい心性の国民達からは冷笑される。
でも、その真摯さは彼と同じように社会を善性によって動かそうとする者達の心を捉える。
そんなわけで、自分の周りの良心的な人達は彼の当選を喜んでいた。

おれも今回の選挙の数少ない良い結果の1つだと思ってる。
「民主主義は51対49でも勝ち負けが決まる」「勝った者は負けた49の思いも背負っていかなければならない」上部だけではなくこんなことを本気で思ってる議員は自民にも公明にもいないだろうから(あと維新にもな笑)。

ただ、そんな当たり前のことを考えてるだけで小川淳也が立派で清廉に見えてしまうぐらい絶望的な状況にいるんだと思うと、どんよりした気分になる、、笑

それに小川淳也を他の人と同じテンションで絶賛できない自分がいる。
政治の方向性を語るシーンで「これから国民にも痛みを分かち合ってもらう」的なこと言ってたから。
これって新自由主義者の常套句じゃん。財源がどうとか言って結局、大企業と富裕層の負担を軽減し、そのツケを庶民に負わす政策を誘導する時の決まり文句だよ!
だいたいつるんでる議員が前原誠司とか国民民主の玉木とかスジが悪すぎる。こいつら自民党の二軍、ベンチウォーマーみたいなもんじゃん。だから小川淳也のことも信用できない笑

でも、このドキュメンタリー見るとやっぱいい人に見えちゃうんだよな、実際いい人なんだろうけど。
選挙区のライバルが地元で新聞を発行する名家の議員という圧倒的に不利な状況に腐らず選挙戦に挑む姿は感動的だし。
あと、彼を支える奥さんと2人の娘さんも健気でいい感じなんだよな。
特に娘さん2人、選挙の度に母親の実家に預けれたり、学校の前に父親のポスターが貼ってあり恥ずかしい思いをして、「政治家も、政治家の嫁も絶対いや」と言ってるのに、大きくなってからは父親の選挙に全面協力。「娘です」て書いてあるタスキをかけて父親と一緒に街頭に立つ姿を見ると胸が熱くなるよ。

日本のどうしょうもない政治風土と選挙戦を切り取り、家族の物語としてのおもしろさのあるドキュメンタリーだった。
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