梅田

DAU. ナターシャの梅田のレビュー・感想・評価

DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)
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この緊迫感と閉塞感はちょっと尋常じゃない。この作品は、調べれば調べるほどドン引きしてしまうような『DAU』というアート・プロジェクトのほんの一部でしかなく、そういった文脈に目を瞑って単体の映画として語ることにどれだけ意味があるのかはわからない。これ以外にも膨大なフッテージが眠っていると思えばこの贅沢な(贅肉だらけの)時間の使い方にも頷けるものがある。
ここでフィルムに収められている「演技」は、否応なしに観客の倫理を試してくるような代物で、その狂気っぷりは例えば同じように巨大なセットを作ったジャック・タチ『プレイタイム』の狂気とは似て非なるものだ。本作『ナターシャ』が2時間少々という商業映画のフォーマットで公開されてしまったのは恐ろしい話で、日本公開されたもう一作『退行』は6時間以上ある(たぶん僕は観ないだろう)。
梅田

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