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砕け散るところを見せてあげるの8637のレビュー・感想・評価

3.6
ハッシュタグ「砕け散る賛否両論」に擬えて感想を書いてみると、役者は賛、監督は否、読めない展開は賛、会話の間延びは否、堤真一の演技は賛、堤真一の役は否、CGは賛、編集力は否...というところだろうか。
総合的に言うと"否寄りの賛"で、面白いのだが面白いなりに言及したい点があった。

感想でよく指摘されているのを見た"あたおか演出"は無いと思ったが、全体的にテンポが悪いため純愛映画・復讐サスペンスのどちらとも取れない。
また意図的なのかもしれないが、CGがチープすぎるのも一般ウケしない要因の一つかもしれない。
更に、ナレーションの入れどころが不自然だし、もし父母の純愛として回顧させたいのであれば北村匠海か中川大志のどちらかにすべきだったと思う。
そして、シーン一つ一つが余計に長い。それにより現実感を出そうとしたのかもしれないがそれはなかった。だが、意外に飽きない。それはやはり演出の方向性の誤りを補う役者たちの影響だろう。中川大志と石井杏奈の新境地は言うまでもないが、松井愛莉×清原果耶の姉妹には終始観客が笑っていた。特に清原果耶は特別出演レベルだろうと思っていたのでガッツリ出演していたことに好感。「うっす」で口答えする彼女の後輩感が良い。
堤真一の"明らかにやばい奴な風格"は、SABU映画で5本連続主演をやってのけた経験がある彼だからこそちゃんとマッチしている。

「砕け散るところを見せてあげる」...果たしてこれは誰の誰へのメッセージだったんだろう。
学校生活、生きづらいと思う校則とか多々あるけど、いじめなんてそんなもんじゃないんだと感じる瞬間が一番居づらい場なのかもしれない。

ここまでして他人を救うヒーローを、国民は"賛"と"否"どちらで評価するのだろう。
皆それぞれ違う優しさを持っている。この言葉で片付けていいのかは分からないけど、ヒーローに憧れる人を見つけたら、冷やかすのではなくまずは見てみることから始めようと思う。
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