過ちを犯した時、人は頭の中で"是"と"非"とを秤にかける。
ある時は"是"の皿に恣意的な自己弁護という重りを乗せ自身の非を誤魔化し、ある時は"非"の皿に罪悪感を乗せ、必要以上の罪を背負おうとしてしまう。
重りを排除して双方どちらに傾くのかを正しく見極めるのはとても困難で、その精度を上げる方法は、自分の心を真摯に見つめ、またそのように人の心を見つめ、その間にあるものに手を伸ばし触れようとする事以外に無いのだと思う。
他者。確かにそこにいるのに、なんて寄る辺ない存在なんだろう。
もう知ることは叶わない事実
人と人との間にある気持ちの溝
大切なものを失ったことで、心にできた穴
それらの空白は、元通り埋まることは無い。
それでも見つめていくしかない。
時折、予期せずその暗部に差す光の美しさに生かされながら。