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Swallow/スワロウのSUのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

ハンターは客観すると一見裕福で幸せな美人妻だが実のところ役目もなく人とも会えず自由もなく人形の様に飾られるだけの生活が続くことによる強いストレスから異食症となり異物を飲み込む多幸感で自己を保ち出す。
じっくりと長回すカメラワークと低音響がスリルを演出しておりヘルパーのルアイは結局理解者となったが登場時は風貌からミスリードが甚だしくルアイが画面にいるだけで怖い。夫の同僚のハグテロ男もそう。
話をまともに聞かないイカれた抑圧家族から逃げたのちハンターは母をレイプした実の父と会い「お前は俺とは違う。お前はお前だ」という言葉を聞くことで自己を肯定できアイデンティティを取り戻す。そして公衆トイレで中絶を決行しトイレをあとにするが、エンドクレジットの間このトイレを映し続けその他大勢の女性が用を足したり手を洗ったり身だしなみを整えたりまた、ボーイッシュ、ギャル、ぽっちゃり、奥様、お姉さん黒人白人など多様な女性が出入りする様子を見せ続ける。まるでハンターの苦悩から自己の解放と決断に至るまでの壮絶なストーリーが嘘の様に、当たり前の様に過ぎ去っていく。トイレが女性の生まれ変わる瞬間の象徴であるかの様にある意味フェミニズム映画であることや異食症を介すものの男尊女卑や女性搾取などの闇が未だ蔓延る社会への訴えにも感じられた。
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