blacknessfall

サイコ・ゴアマンのblacknessfallのレビュー・感想・評価

サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)
3.9
配信を導入する前ならおそらく万難を排して公開時に観てたよ。それぐらい好きな予感しかしない映画。なんせアストロン6のメンバーで『マンボーグ』撮った監督の新作だから健全なホラー好きなら無視できないぜ。健全なホラー好き以外の方に説明するとアストロン6はトロマ魂を継承する低予算バカ・スプラッター映画を次々世に送り出す映像集団のこと。監督が違えど作風に共通点がある。まあ、バカ・ホラー版のドグマ95みたいなもんだと思ってくれ。

マジで、配信を導入してから情熱無くしてるんだよ。いずれどこかに落ちてくるし仮に落ちてこなくても似たようなのいっぱいあるから漫然と類似作を観てるうちに存在すら忘れてしまう。容易にアクセスできれば観る本数が増えるかと思いきや減るんだよな、いつもでも何かしらあるてのは逆に興味や熱量を奪うんだよ。と、最もらしいことを言ってるけど、単に自分の映画への興味が薄れてるだけなんだ、多分。好きな映画を観る。それで得られるつかの間の多幸感で乗り切れるほど生ぬるい地獄じゃなくなってるからな、この国は。賃金と社会福祉が下がる一方、税と物価と絶望のフェイズがうなぎ登り。バカを操り腐敗と差別の塊が我が世の春を謳歌してる。こんな世界で映画なんか何かの足しなるのか?ならねぇ。でも、かと言ってこれといって他に多幸感を得る趣味持たぬ文化的レベルの低い人間だから結局映画を観てしまうんだ…最近はいつもこんな気持ちで映画を観てる。うんざりだ。

本題に入る。タイトルのサイコ・ゴアマンは主人公の名前なんだけど、アンダーグラウンド・デス・メタル、グラインド・コアの老舗レコ屋『はるまげ堂』さんにありそうなファニーに寄ったゴア・グラインド・バンドにありそうなガキっぽい名前だよな。まずこのタイトルに惹かれたわけなんだけど、このサイコ・ゴアマンは宇宙の破壊者と怖れられた怪人で別の名前があった。
その圧倒的破壊力で宇宙狭しと暴れ回っていたゴアマンだったが、宇宙の秩序を守るテンプル騎士団(実は圧政者)に封印される。偶然、その封印を解き、サイコ・ゴアマンの力の源である石を生意気な地球人の少女ミミが手に入れる。復活するもミミの下僕になってしまうサイコ・ゴアマン笑 この時ミミから付けられた名前がこのクール(アホ)な響きのサイコ・ゴアマンだ。

これって要するに子供と異世界の何かが交流する。『オバケのQ太郎』とか『E.T』とかのホラーバージョン。友情や信頼関係ではなく主従関係だから『忍者ハットリ君』とか『ケロロ軍曹』とかに近いのかな?
本作がおもしろいのは一重にゴアマンではなく少女ミミの魅力に尽きる。生意気と言ったけどそんな生やさしいもんじゃない。日頃から兄や両親(主に父)を顎で使い我が儘放題、傍若無人に生活してる。暴君ならね暴姫👸 容姿はキュートたがロリコンオタクが萌える隙を1ミリ与えぬアンチ・ヒロイン・ガール🦸‍♀️だー💨

そんな性格であるミミが宇宙の破壊者を自由に使えるようになったわけだから、色々やるんだよ意地悪なことを。この辺はコメディーホラーの王道的な手堅い(予想できる)ギャグが続く。そんなに特筆すべきものはないけどジャイアン・マインドの少女が宇宙の破壊者にこんな下らないことをやらせるギャップのおかしさが加味されてしっかり笑えた😆
監督もこの映画の肝はミミのキャラクターだと分かってるようでミミの悪辣さを観てる側が嫌いならないギリギリのバランスで撮ってる。
酷いことを言わせ、やらせる(ゴアマンに命じる)んだけど陰険に見えないように演出してる。もっとミミの傍若無人が見たいと思わせることに成功してる。
特にゴアマンと兄、ゴアマンに命じて変な肉片の塊に変身させた友達👩をバックバンドに従え「あたいが一番👸✨あたいがサイコー💃⤴️」と自らを讃えるロックナンバーを熱唱するミミをPV風に撮ったシーンは白眉で本作の魅力を凝縮していた。
ロリペドおっさんや少女に存在しないロマンやノスタルジー抱くおっさんの幻想を拒絶した真の意味でピュアな少女像に胸のすく思いだぜ🤩

それから、ゴアマンが昔の仲間を地球に呼び寄せミミから石を奪還しようとするも実は仲間に嫌われていてボッコボコにされたり、復活したゴアマンを始末しに宇宙の圧政者テンプル騎士団の戦いに家庭不和になったミミ家が分裂して参戦する。ミミと父がゴアマンと結託、テンプル騎士団ボスと母と兄が結託して宇宙の命運と家族間の主導権を懸けた戦いが、何回聞いてもルールがよくわからないミミが考案したドッチボールを魔改造した「クレイジー・ボール」で繰り広げられる。ハルマゲドン・ファミリー・ウォーズの結末や如何に⁉️
サラッと説明したがこの辺全部ビジュアルもストーリー展開もバカバカでゴアゴアでスキモノには堪らないぜ😏


しかし、これ観てよかった。すげぇおもしろかった😆あれだけ陰鬱な呪詛を吐いた後で言うのも気まずいが、こういう映画を観て日常のいやったらしさを忘れていくばくかの鋭気を貰うのは何とも心地好い。逃避でしかないがそれがないよりやっぱりマシなんだよ😬
現在の国情を憂い嘆き絶望できる時点で抗ってることになる。おれ達は巨象🐘に挑む🐜だ。一丸となって逃避しバラバラに抗え📢💨
blacknessfall

blacknessfall