回想シーンでご飯3杯いける

ハッピー・オールド・イヤーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
「バッド・ジーニアス」のチュティモン・ジョンジャルーンスックジン主演によるタイ映画。テーマはずばり断捨離!

北欧への留学でミニマリズムに感化された主人公が、元彼との再会も果たさないまま一気に断捨離を始める。目標は、自宅を改造して無駄のないシンプルなデザイン事務所を作る事。

しかし、同居している母親からは猛反対され、プレゼント類も容赦なく捨ててしまう彼女に対して親友からも批判を受ける。元彼が使っていたカメラを小包で送ると、受け取り拒否で返ってきてしまう。そこからドラマが大きく展開していく。

断捨離から人間の価値観や人との繋がりを描き出す手法がとても面白い。ミニマリズムに傾倒する女性の話なので、画的にもお洒落で、映画として目を楽しませる要素も満載だ。

20年ぐらい前だったか「痛快!御影屋」という関西ローカルの深夜番組の中で「1日で引越し」というコーナーがあった。素人さんに「引越ししませんか?」と持ち掛け、費用は番組が負担するという企画。いきなり引っ越しする事になり、思い出の品々を断捨離する素人さんの姿に何故か無性に感動してしまう、大好きなコーナーだった。

断捨離は人を表す。この「ハッピー・オールド・イヤー」を観ていると「1日で引越し」を思い出してしまう。ノスタルジックな描写が得意なタイ映画らしい、ユニークな作品だ。