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マグノリアのmiiのレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
4.1
冒頭に ビルの屋上から飛び下りた男が。
下の階では 喧嘩をしてい夫婦が居り
逆上した妻が発砲した弾が 飛び下りた男に当たったのは偶然。
飛び下りた男は なぜ病んでしまったのか?
この物語の そのからくりが 徐々に顕になっていきます。

登場人物9人の群像劇。
それぞれが悩みを抱えており 行き詰まっています。

自己啓発セミナーで講師をしているフランクも 一見強いオーラを放っていますが
父親アールの話をされた途端に 心が揺らぎ表情が曇っていきます。
父親との確執があるから。
彼があのような「強い男」であるかのように 自分を鼓舞している様は
父親の影響があったであろう事は必然となるでしょう。

もう一人 ドラッグに溺れているクローディアも
父親ジミーとの過去があるから それを引きずっており
クイズ番組に出ていた少年スタンリーも あのような失態となってしまったのは
周りの大人の強要で必然的。
過去にクイズの天才少年と称されたドニーが落ちぶれてしまったのも
描かれてはなかったものの 推測できてしまいます。
「なるべくしてなった」というもの。

そんな中 偶然の出会いもあり 幸となる者もいれば 不幸となる者も。

アールとリンダとの出会いがあったから 今のフランクがある事。
クローディアと警官ジムとの出会い アールと看護士フィルの巡り合わせ。
彼等の偶然の出会いによって 運命の流れが変わっていきます。

世の中には偶然と必然があり
必然によって今の自分があり それによって今悩んでいるとしても
今後 驚くような偶然が訪れ 運命は好転するかもしれない。
人生には何が起こるか分からない。

それを示しているのが 「マグノリア」のあのサプライズ!
その異様な様子は そんな事有り得ないだろう?というものなのですが
登場人物の悩みなんて一気に吹き飛ぶような唖然とするものだったのです。
9人の人物たちを どのようにまとめるのか?
そう来たか!と唸るものでした。

有り得ない事も起こりうるのが人生。
そういった意味を込めて 楽観的に思考を持っていけるような あのサプライズだったのでは?と。

そして フランクが 死ぬ間際の父親を罵倒したように
不幸を責任転嫁する事ができるような 身勝手な部分を持てたら
人って楽に生きやすいのかもな とも思いましたね。

スタンリーも ニュアンスは違えど フランクと同じように父親に言えた事に 光が見えました。
まだまだこれから先が長い 少年ですしね。
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