今回は映像を観に行ったので、とても楽しめた。何よりその映像表現のバリエーションの多彩さ。運良くその劇場の最大スクリーンで観れたから映像美の突出はひしひしと感じた。細胞が蠢くCGシークエンスが本編でも観られるなんて。撮影監督が外国人の方だったのも驚いた。
映画の流れとしてはまぁまさにCM監督らしかった。モノローグ構成が余りにも...すぎるのはたまに気になったが、世界観の作り込みは流石のもの。
そんな暗い映像美を意識した上で問う。この世界って、こんなにも残酷だっただろうか。それは多分、人によって見方が違うのだろうけど。
仕方ない事で貶されて、一生苦しむ。それでも自死しようとしない強さは、自分が社会から省かれた人間だという悲観と矛盾になる気もした。
仕組まれた運命。不法侵入した感情が溢れ出す。「認めてはいけない」と言われると抗いたくなる。それでも、恋ではないと言うのなら。
絶望は虚無を遺して去っていく。だから悲観が消えない。忘れたわけではなく、能動的に薄れていくのも少し違った。ならその胸の高鳴りは何だったんだろう。
この映画の中では、"恋"は"死へのカウントダウン"。そう考えると、恋愛映画史上最も意味を持つキスシーンが、この映画にあったのかもしれない。
ちなみに僕は、あのラストショットを現実のものだとは思えなかった。美しすぎて。