HicK

カーズ2のHicKのレビュー・感想・評価

カーズ2(2011年製作の映画)
2.6
《007なスピンオフ》

【過去のトラウマ】
人生で初めてレンタルDVDを途中で見るのをやめて返却した作品(笑)。今回は配信で無料で見れるので真剣に鑑賞。良い点にも気づけた。

【007】
ボンドカーをそのままスパイに。英国名優、マイケル・ケインの声が渋い。最後の舞台もイギリス。とにかく、ボンドカーを主人公にしたいという発想から始まったであろう、今作の方向性はかなり明解だった。

【演出】
ロンドン上空のシーンは実写かと思うほどの作り込みで美しかった。また、いつもと音楽の感じが違うと思ったら、今作だけマイケル・ジアッキーノ。どおりで「アイアンマン3」っぽい。その辺からも前作とは異なる意図が伝わってくる。

【ストーリー展開】
意外とスパイ映画してた。悪役も善人に見せかけて金儲け、報酬をチラつかせて組織を従える、というそれっぽさ。様々なガジェット、話のツイストもあり、スパイ作品に不可欠な要素全てにレ点が入っていた印象。

【ただ、やっぱり違う】
ナンバリングタイトルでスピンオフという変化球。それだけならまだしも、雰囲気もガラッと変わり、前作で魅力に感じた要素は全て排除されていた。ドック役のポール・ニューマンの死去も関係しているのかもしれないが…。

テーマ性としてはメーターに焦点を当て、のちの「ファインディング・ドリー」にも近いのかな。ただ、そもそも発端として描かれるのが、「マックイーンが何度注意しても真剣なレース中にデートの交渉をやめないメーター」なので、ん〜…と思ってしまう。これが結果として導入部分で見入れずに途中放棄してしまった最大の原因だったのかも。

本当にメーターに魅力を与えてないというか、「おバカだけど根はいい奴なんですよ」という設定止まりで、設定上「いい奴」だから最終的には周りがメーターに譲歩する風にも見えて…。彼自身もちょっとかわいそうなヤツ。でも、個人的にはジャージャー・ビンクス以上にダメだった。

【総括】
異色のピクサー作品。ガッツリアクションにキャラクターの魅力が隠れてしまった。続編でやられてしまうとちょっとがっかり。スピンオフとしてのリリースが相応しいと思った作品だった。
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