Yukiko

犬は歌わないのYukikoのレビュー・感想・評価

犬は歌わない(2019年製作の映画)
3.8
2022年5月16日
『犬は歌わない』  2019年オーストリア・ドイツ制作
監督、エルザ・クレムザー&レヴィン・ペーター。

現代のモスクワ。
街をうろつく野良犬。
人から追い払われる事もなく、野良犬狩りもなく、
自由に暮らしている。
1950年代のモスクワ。東西冷戦の頃。
野良犬のライカは初めての宇宙飛行犬として、宇宙へ
飛び出すこととなった。


現代の野良犬の自由な暮らしと、1950年代の実験用の
宇宙犬の様子が交互に表れる。

自由といっても、中には捕獲される犬もいるわけで、檻に
入った大勢の犬たちの姿も映る。

猫を捕まえた犬が、噛み切り振り回す姿は・・・目を覆う。

犬の恋の時期の姿も映る。
雄犬が雌犬を守ろうとしている姿や、雌犬に甘えるような
雄犬のしぐさ、野原での2匹の映像は微笑ましい。

そんな現代の様子と比べて、1950年代の実験映像は
痛ましい。
犬の尿管に管を通しているのね。喉にも。
その他にも、チューブだらけの犬の映像。
小型犬2匹が宇宙から帰還した映像、元気な姿は良いの
だけど、管だらけの映像は痛々しすぎる。

「スペース・ドッグ」となるからには、野良犬といえども、
選びに選ばれた優秀で健康な「犬」だったとは思う。
これらの実験をこなした犬がいるからこそ、有人飛行が
可能となっていく。

思うがまま生きられる野良犬が良いかと思ったとしても、
ラストに衝撃映像がある。

犬の後は、亀2匹を月に送ったとか。

野良犬が通りをウロウロしているのは怖い。
路地裏でばったり犬に出くわすと恐怖だ。
犬はいきなり人を噛んだりすることがある。
昨年、足首噛まれた。
人間にするのと同じように「犬にも挨拶をしろ!
無視するな!」と言いたいらしい。

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<ソ連の宇宙犬> Wikipediaより転記
宇宙開発の実験の為、ソ連の宇宙船に乗って地球外へ行った
犬たちの事である。
1950年代から1960年代にかけてソ連は、人間の宇宙飛行は
可能かどうかを決定する為に、少なくとも57回、犬を宇宙
空間に送った。
但し、1匹の犬が複数回宇宙へ行くケースもある為、実際に
宇宙旅行をした犬の数はこの数字よりも少ない。
殆どの犬は生きて地球に戻り、死んでしまった数匹も殆どは
技術的なミスが原因だった。

犬は、長い間動けない環境に適応できる為、実験に適した動物
だとされてきた。
更にトレーニングとして、15~20日間も小さな箱の中に閉じ
込められた。
更に、飼い犬よりも厳しいストレスに耐えられるという判断
から野良犬が、気性及び糞尿の収集システムの関係で雌犬が
選ばれた。

トレーニングの内容は、長時間立つ訓練、宇宙服を着る訓練、
発射時などに所定の場所にいる訓練、発射時の加速に耐える
遠心機の中に入る訓練などである。
食事としては、パン粉・肉粉・牛脂などを素材とするゼリー状
の蛋白質を摂取した。
これは繊維質に富み、消化の良いものだった。
報告によると、帰還時には60%以上の犬が便秘や胆石に
悩まされていたという。

ライカは、1957年11月3日スプートニク2号に乗って、
地球で生まれた生物として初めて軌道飛行を行ったが、
再突入装置はなく、初めから帰り道のない旅だった。
打ち上げ当時は「一週間生存させた後薬物で安楽死させられる
予定だったが、酸素不足で死んだ」と発表されていた。
しかし2002年10月に「気密室の断熱機構のトラブルの為、
ストレスと高温によって打ち上げ5時間から7時間後にライカは
死んでいた」と公表された。

ベルカとストレルカは、1960年にスプートニク5号に乗って
宇宙で1日を過ごした後、無事地球に帰還し、地球軌道を周回
して無事帰還した初めての生物となった。
彼らは1匹のウサギ、42匹の鼠、2匹のラット、ハエ、沢山の
植物や菌類と共に出発し、この全てが生きたまま帰還した。

帰還後、ストレルカはプショークという雄犬との間に6匹の
子供をもうけた。
子犬の中の1匹はプシンカと命名され、1961年にフルシチョフ
からジョン・F・ケネディの娘キャロライン・ケネディに
贈られた。
贈呈の際、プシンカはソ連のスパイでないことを確認する為に
厳重な検査を受けた。
冷戦のさなか、プシンカとケネディ家の愛犬のチャーリーは
4匹の子犬をもうけた。
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