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ザ・ファイブ・ブラッズのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ベトナム帰還兵が埋蔵金を探しに、ベトナムへ向かう話。

ベトナム帰還兵をテーマにした作品は数あれど、黒人兵士にフォーカスを当てた作品は珍しく、興味深く見れました。
また、トランプ支持の黒人が登場する作品も初めて見ましたね。

埋蔵金を手に入れるまでは団結してた彼らが、いざ金塊を手にした途端に分断していく様子は、アメリカの現状を連想せざるを得ないし、結局は殺し合い…ベトナム戦争と同じ事を繰り返してしまうという皮肉が込められているのでしょう。

スパイク・リー監督の前作『ブラック・クランズマン』は、あまりにも「黒人アゲ白人サゲ」が露骨で乗れなかったのですが、本作は白人だけでなく、黒人にも批判的・内省的な目線が向けられる事で、より普遍性をもった作品になった様な気がします。

本作で描かれる黒人は被害者であり、同時に加害者でもある。
それは知らず知らずの内に誰かの尊厳を傷つけ、誰かから搾取する事で生活が成り立っている現代人にも同じ事が言えるのではないでしょうか。
しかし、多くの人は加害意識には気付かず、被害意識ばかりに囚われている。
そして、被害意識に囚われた人間には、一体どんな結末が待っているのか?

もしも、ポールがもっと早くに自らの加害意識(ノーマン)と向き合う事が出来ていたら、また違った結末になっていたのかもしれません。
誰しもが被害者であり、加害者でもあるという事。
だからこそ、まずは自らの加害意識と向き合う事が、互いを愛し合う為の第一歩になるのです。
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