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グローリーのGreenTのレビュー・感想・評価

グローリー(1989年製作の映画)
3.5
いい話じゃないですか!!

1862年、アンティータムの戦いを生き延びたロバート・グールド・ショーは、帰郷先のボストンで奴隷解放運動家の父の紹介で北軍初の黒人連隊「第54マサチューセッツ志願歩兵連隊」の隊長に就任する。

ロバートって、23歳とかって劇中で言ってませんでしたっけ?こんな若造が大尉になって、自分より年上の人に命令しているなんて・・・・とかって手紙に書いていたような。

しかもいい家の子で草食系。マシュー・ブロデリックって全然好きじゃないけど、この役すごいハマってるなあ。

このショー大尉の立場!!わかる、わかるよ!と思いながら観てた。黒人の奴隷制度を敷いて差別的なのは南軍で、自分ら北軍は奴隷解放を謳っているハズなのに、まずは内部の黒人差別と闘わなければならない。ユニフォームや軍靴をロバートはちゃんと注文しているのに、黒人だからと支給されない。だけどそうすると、黒人兵士は隊長のショーに対して恨みを持つ。

逆に黒人の方も、全く真面目さがない。訓練は一生懸命やるけど、例えば上官と一兵卒はランク分けされているとかそういう規律がわからない。北部で自由黒人として生まれてロバートの家の執事として働いていたトーマスは、軍に入っても「ロバート、ロバート」と幼馴染み丸出しで接してきて、それにビシ!っと「上官と呼べ!」って言うと、嫌なヤツと思われる。

ロバートの右腕のフォーブスって白人男性もそうで、北部で黒人と一緒に育ったから、ロバートのトーマスに対する態度に「幼馴染みなのに!」みたいなこと言う。

でもロバートは実戦を経験しているから、甘やかしていると実戦で殺されるから、ちゃんと教育しなくてはならない。

サラリーマンやってたらわかるよね、この中間管理職の辛さ・・・・。しかも文化が違う人たちを教育するって本当に難しい。本人たちのためにやっているのに、理解されない。

でも私は不思議に思ってて、なんで黒人は部隊に志願したのか?この頃ってまだ、戦争って美化されていた?戦争行っても死なないとかって本当に思っていたのかな?とも思うし、「やっぱ黒人は使えない」みたいな風潮があったから、それを変えたかったのかな?

なんか、南軍に捕まったら奴隷にさせられるらしく、奴隷制度から逃れるために北部に逃げてきた黒人はまた奴隷に戻されるのはイヤだろうし、北部生まれの黒人には恐怖でしかないよね。

黒人の兵士たちがだんだん育ってきて、モーガン・フリーマン演じるローリンズは曹長に昇進し、トリップは旗手に任命されるんだけど、粛々と受け入れるローリンズに対して、トリップは断る。ロバートは、戦争に勝てば裕福な家に帰るだけだけど、元奴隷だったトリップは、勝ったところで人生が好転するわけじゃないと。

最後に、先陣を切った隊は大打撃を受けるだろう、と言われていた戦闘に、ロバートは先陣を志願するんだけど、これは、平等だとか言ってるけど、戦争が終わった後の人生がそんなに差がついてしまうなら、平等に戦って平等に死ぬ方が潔いと思ったのかなあって思った。

で、第54マサチューセッツ歩兵連隊が戦いに向かうのを見送る白人兵士たち。黒人だからってバカにしてケンカした若い白人兵士が「敵に目にもの見せてやれ!」ってトリップに声をかけるとこで泣いた(笑)。ベタでもやっぱりこういうの泣かされる。

私すごい小心者で、特に死ぬのは怖いくせに、だからなのか「命を懸ける」っての、すごい感動しちゃうんだよね。

これって現在では「なんだよ~結局いい白人を描いているのかよ!」みたいに言われるんだろうけど、このショー大尉って本当にこういう人だったんじゃないかと思わせてくれる。こういういい人も絶対いたハズだよ!って。
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