チッコーネ

夜よ、こんにちはのチッコーネのレビュー・感想・評価

夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)
2.7
「赤の旅団」が引き起こした実在事件ベースの物語で、結末はわかっているだけに、どう展開していくのかを観ていた。
サスペンスフルな要素は希薄で、スローモーかつノスタルジックな雰囲気。
監督は事件発生当時30代だったはずで、同世代の暴走に思うところがあったのだろう。
頻繁に挿入される「ムッソリーニの独裁政権と闘った民主主義活動家の回顧映像」を眺めながら、こちらは「人間が生み出した社会主義の理想が、人間の手で運営され始めるとなぜ失敗していくのか」について、改めて虚しい気持ちを抱く(対極の高度資本主義についても同様だが)。
また映し出されるキリスト教圏の国民ならではの発想言動や、ヒロインにやたらと甘い演出には鼻白んだ。
作品内で彼女にほのかな思いを寄せる青年は、恐らく監督の分身だ。