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いのちの停車場の8637のレビュー・感想・評価

いのちの停車場(2021年製作の映画)
3.8
正直、何度も号泣した。
誰もが皆一様に、当たり前のように死んでいく物語。そしていつかは自分も...。
笑える雰囲気の先だからこそ、観客も咲和子と共に真剣に考えられる"安楽死"のこと。
人は「生きる」を超えて「生かされる」。人に泣かれて死ねるって、どれだけ幸せな事だろうか。

在宅医療とは、手当てだけでなく"対話"で病と向き合う治療法なんだと思う。だからか、有り得ない程に優しい世界だったし、人と人とのかけ合いがいつも温かかった。時にそれは度を超えて、茶番のようにもなっていたが。

吉永小百合と田中泯が親子に見えなかった(調べてみたら同い年だった...!)りと違和感はあるが、それぞれのキャラクターは登場時間に関係なく、濃くて良質。
特に若手代表(?)の広瀬すずと松坂桃李が、他に代わる役者の見つからないレベルに良かった。

劇場にはお年寄りの観客が多く、案の定解説の様に喋る老夫婦がいた。その二人が最後に「安楽死で患者を殺したら、咲和子は罪に問われるのかな」と当たり前で深い事を言っていてグッときた。


追記:松坂桃李が半裸になるショットがあんなにも壮大なカメラワークの映画、他にないよ...
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