みどり

ヤクザと家族 The Familyのみどりのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.2
2021/3/1
シネマ1

偶然か必然か
身寄りのない賢治が
柴咲組組長を助けたことによって人生が大きく動く

覚醒剤に手を出した父を見ていたため
自分はこの世界に関わらないと決めていたけれど
彼が選んだのはヤクザへの道
自暴自棄になっていたとき

ケン坊、行くとこあんのか?

と手を差し伸べてくれて
盃を交わし、親子になった


その道中で出会うホステス、由香との出会いも印象的
自分と同じように家族がいないこと、
彼女の前ではありのままの自分でいられたからこそ惹かれたのだと思う
それにしたってケン坊、不器用で愛おしくなってしまう


しかし
対立する俠葉会とは争いが絶えず
あるきっかけを経て
若頭、中村の罪を被り刑務所に入ることになった賢治

14年後に獄中から出てきたときには
すべてが変わり知らない世界になっていた

時代が進んでいくたび
ヤクザは反社と一括りにされ
生きづらい生活を送らなければいけなくなり
かつての仲間もなんとか生きるためにと変わってしまった
組を抜けた細野は家庭を持ち

ヤクザが人間として扱ってもらうには5年はかかること
義理や人情だけでは生きていけないことをまじまじと語る


反社と呼ばれるものの生きづらさ
いわゆる、まともな人生や生活
を送りはじめても
どこからともなくやってくる
小さな亀裂が大きな出来事変わって


おまえはまだやり直せる


組長が託してくれた言葉
どうにか生きていこうと
自分の憧れる家族、を作っていこうとした矢先
少しずつ崩れていく
掴みかけたのに、消えてゆく
この残酷さにきりきりと胸が痛かった


お父さんって、どんな人だったの?


それでも
山本賢治、という男を
そばで見ていた翼が
後世に語り継いでいくのはずっと生き続けていくようで
ラストまで彼らの生き様から目を逸らすことができなかった










すばらしき世界とあわせて見れたことで
より一層自分に響いた気がする
北村有起哉さんの演技の幅にはただ驚くばかり
危うさがあり揺らぐ磯村くんもすごくよかった



何もかもが素晴らしい
監督、役者さんすべてに拍手を
みどり

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