ゴーペガ

ヤクザと家族 The Familyのゴーペガのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
2024年映画7本目。
非常に良くできた脚本と物語。退屈するような場面もなく、一気に物語に引き込まれた。あるヤクザの3つの時代の物語である。後半は同情を誘うような場面があり、私も感極まったのだが、心の何処かで冷静な自分もいた。ほとんどの登場人物が悲劇的な展開を迎えるのだが、「そうなったのは自分のせいとちゃうか?」という思いが拭えなかった。ヤクザになったのは、社会のせいだ、とでも言うのだろうか。誰かに無理矢理、ヤクザになれ!と強制されたのか?主人公やその他の登場人物が、ヤクザという道を選んだのは、他ならぬ自分自身である。自業自得であり、因果応報である。私も主人公のように十代で両親を亡くしているが、暴力団員になろう、とは微塵も考えなかった。主人公の親たちはヤクザなのだが、子は親の背を見て育つ、と言うし、同じ職業を選んでしまうのも無理はないのかもしれない。しかし、そういう時こそ、自分の頭で考え、主体的に自分の人生を切り開くことが最も重要なことである。だが、組織を抜けた組員の「5年ルール」はいささか厳しすぎるようにも感じた。自分名義で部屋を借りられない、携帯電話を契約できない、車も買えない、というのでは、社会的に生きる道を閉ざされたようなもの。ましてや、元組員を雇ってくれるような職場もほとんどない。もう少し、社会の側での受け皿、「セーフティネット」を拡充した方が良いのでは?と感じた。暴対法施行以降は、半グレが横行して、より悪化しているような気がする。「窮鼠猫を噛む」とも言うし、何事も追い詰めすぎたり、やりすぎはいけないのかもしれない。
ゴーペガ

ゴーペガ