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あのこは貴族のmiuのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
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「落ち着く、全部美紀さんのものだから」
美紀の部屋を訪れた華子の言葉に、きっと受け継がれてきた家財道具に囲まれて育ったのだろうなと思った。形成したと思っている自己は最初から筋書き通りの人生の自分で。そうではない人と出会って決められた道を歩くだけが幸福や人生ではないと気付き、歩き始めた横顔はとても魅力的だった。
2人乗りしてるギャルに手振れるくらいに、軽やかに。女同士が蔑み、歪み合って貶める時代なんてとっくに終わってる。人間と人間の話を見られた。
「どこに生まれたって、泣きたくなる日はあるよ。」
お互いの人生を尊重し想像力を膨らませること。その豊かさにほっとした。
年齢も性別も学歴も家柄も、今と未来の自分にとって記号でしかない。カテゴライズされない、させない世界で自分だけの人生を。嘲り合うのではなく、手を取り合うことを選ぶ。漕ぎ出す力をくれる細やかで心地良いシスターフッドムービー。
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