まち

あのこは貴族のまちのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
5.0
な〜ぜか観てなくて、ようやく観て、最高すぎてぶったまげてしまった
今年ベスト(2020年の映画だよ!)

ポロッと言う、東京の話、階級の話などが説教ぽく悪目立ちしてしまうことがないのが凄くて、キャスト陣の演技力の高さが窺えた。

メインキャストが女性なのでつい女性の話!と感じてしまうけれど、男女問わず生まれ育った環境と社会から求められるものと自分で選ぶ道と…を考えさせる作品だったと思うからあまり全女性に!って推したくないよな〜…と思った。一般市民である私たちは青木家の感覚は勿論、華子の家の感覚すら分からないけど、彼らが「家」のために求められることを当然として30年近く生きてきた姿はしっかり映画の中で描かれていて、そんな説明改めて要りませんよ。って作りの丁寧さに圧倒されました。

青木がめちゃくちゃいいキャラクターで…近年稀に見る男…。青木の性格は全く悪くないんだもんね。そういう環境で求められて育ってきただけだから…制作側も青木を悪くは描かずフラットに作っているよね。そこもかなり好感がもてました。男と女の対立構造にだって出来るテーマ・人間関係なんだけど、そーゆー話じゃないんだよって演出から伝わってきた。

田舎育ちの一般市民として東京に出てきた叩き上げの美紀に感情移入したかといったらそうでもなく…やはり華子のもがきや少しずつ見えていく変化が嬉しくて、道向かいの女の子たちから手を振られてそれに返すシーンで泣いちゃった。そこで泣かせる手腕が脚本と演出にあった。
静かに丁寧に飽きさせない手腕、圧巻でした。
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