まさかこの映画で泣かされるとは思いませんでした。
カーター・チェンバーズ(モーガン・フリーマン)は自動車修理屋のメカニックなのだが、すごい博識。歴代大統領の名前からラジオを開発した人まで全部知っていて、クイズ番組 Jeopardy! の回答は全部正解!
エドワード・コール(ジャック・ニコルソン)は一代でビリオン・ダラー・ビジネスをたたき上げてきたビリオネアーなのだが、結婚・離婚を繰り返し、あるのは金と忠実な秘書だけ。
この2人が病院で同室になり、共に末期がんで余命一年と宣告される。家族のために歴史の先生になるのを諦め自動車修理工になったカーターは、奥さんや息子がしょっちゅう面会に来る。エドワードは高級な食事を秘書に持ってこさせるが、キモセラピーのせいで全て吐いてしまう。
なんかこの導入部分で、モーガン・フリーマンは十八番の「思慮深い老人」、ジャック・ニコルソンは「横暴な金持ち老人」というステレオタイプの設定が露骨だなあと思いました。
カーターは入院中ヒマなのと、先が見えない不安を解消しようと、「死ぬまでにしたいこと」のリスト、bucket List を作るが、余命一年ではこんなもの役に立たない、とゴミ箱に捨てる。しかしビリオネアーのエドワードは、「金はある。あと一年でやりたいことをしよう」とカーターを誘う・・・。
で、2人が色んなことするって話なのですが。
色々な設定がステレオタイプ的だし、都合いいよな〜って思うところはあるのですが、モーガン・フリーマンがやっぱ上手いんですよね〜。ベタなキャラクターなんだけど、納得させられちゃう。
ジャック・ニコルソンはブクブクに太ってちょっと目も当てられないし、あの芸風が合わないって最初は思ったのですが、次第に納得させられました。
で、秘書の役の人もちょっと笑えるとこもあったり、やっぱじーさんは微笑ましいし、ベタでもこのトシになって友達ができるってのはいいですよね。
ただやっぱ、こういうことができるのは金がある人で、カーターはたまたまエドワードと知り合ったからラッキーだったね、って感じになっちゃった。お金がなくても死に際を充実させる、そういうアイデアに溢れた映画が観てみたいなあって思った。
ちなみに甲状腺がんを患い、下顎を全て切除された有名映画評論家のロジャー・イバートさんはこの映画を「ガンで死ぬことは、安っぽい悟りを開く楽しいことのように描いている」と低評価したそうです。まあ本当に病気になった人は「こんな楽じゃないよ!」って言いたくなるでしょうね。