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青春の殺人者の8637のレビュー・感想・評価

青春の殺人者(1976年製作の映画)
3.5
僕の大好きな長久允監督が"映画を諦めなかった"きっかけとしてこの映画を挙げていた時からずっと観たかった。溜めて溜めて、遂にアマプラの配信期限切れが訪れたので鑑賞。

父はそんなに醜かったのか?母は本当に粘り強かったのか?ケイ子はあんなに順任せで良かったのか?

総称すれば「環境と時代」。倫理観に囚われた今ではこんなに殺人に寛容的な映画は生み出せない。無許可でスナックを燃やしたのもやはり時代だなぁ。空港建設デモシーンの善悪の感触も今とは違いそうだし。
殺人をした後の陰湿な未来予想の会話劇が、20分以上も続く。ある意味残酷すぎる。そこに垣間見える主人公の"豪快"像からはただ見せておけば良いという精神を感じない訳ではないが、これも70年代のATGにしか描けない映像だよな。よく知らないけど。

物語としては、誰の擁護もしがたい。時間はあまり経っていないだろうから、かなり濃密な数日間だったんだろうな。だけど、間違ってもこんな人間にはならないようにしなければならない。息子として。

ケイ子役の原田美枝子は18歳でこの役を演じたという事だから、娘の石橋静河が「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」でデビューした時よりも若いのか。

エンディングに流れる「憩いのひととき」は前述した長久監督の「ウィーアーリトルゾンビーズ」でも流れている。大林宣彦の「HOUSE ハウス」を加え、ゴダイゴの音楽は鬼才の初監督作を何度も彩っている。いやーかなり良かった。


追記:長谷川和彦の監督としてのフィルモグラフィ、これと「太陽を盗んだ男」だけなのか。じゃあ、全制覇したわ...
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