肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

パリ、夜の医者の肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

パリ、夜の医者(2020年製作の映画)
3.4
訪問夜間診療、中毒者に対する診療・処方、麻薬類処方箋の横流し、2児妻子との家庭、不倫相手と清濁様々な顔を持つ医師のこれからを左右する長い長い一夜のはじまり

"社会派スリラー"みたいな表現が公式からもされていますが、そんな"問題提起"じみた肩肘張ったテーマものではなく、あくまでも主人公の医者人生と個人問題を描いた「パーソナルヒューマンドラマ」です。
でもフランス、パリの北東部や"夜の一面"を映した"中毒者問題"が主軸の傍らにぴったりと引っ付いてる描き方は非常に興味深いです。

描いてるのは、ほとんど"一日の夜"の出来事という"ストイック"さのあるドラマが揺れ動く主人公の心理模様と"犯罪行為に関与した「真相」"に行き着くまでの"緊張感"に寄与しているのも「サスペンス」として興味深かったのもあります。

単独の夜勤訪問医師で髭をもっさりと蓄えた"アウトローっぽい見た目"なのに、社会保障から弾かれたような弱者、身動きがとりにくい身体的不都合者、本当にその薬を必要としている麻薬中毒者にまで処方箋を発行したりと、まるで"聖人"、"人徳者"に見えてくる"ギャップ"。
でも従兄弟の頼みで医療麻薬の偽造処方箋の処理、その従兄弟が営んでる薬局の薬剤師との愛人関係も長年結んでいるようで、一気に好印象が底辺へと叩き落されるクズ野郎へと塗りつぶされるわけですw

それでも善/悪のギャップも少し極端ですが人間らしさの"リアリティ"が抽出されて、意外にも血の通った人間としての感情移入とは別の"受け入れ"が増す可能性もありますからね。
それで不倫相手と「一緒に逃げちゃう?」ような馬鹿らしい葛藤や"夜のロマンス"を「一日」の案件の"混乱材料"として作用しているのが、フランス映画らしさも感じてしまったりするんですよねw

一番評価を左右する部分として最終的なオチが、映画をそれなりに観ている人だったら(あいつがああしてこうなるなオチだな…)という候補が思い上がるわけですよ。
でもそれは個人的には"やっちゃいけない安っぽいオチ"として警戒していたのに、ものの見事にその経緯を採用してしまったんでやっちまったなぁ〜と萎え気分にはなったんですが、結果的にどうなったかは"濁す"、または"視聴者に委ねる"感じではあったので、なんとか体裁は保ったかと…

描き方として、娘2人(双子?)との送迎の車内でのヒップホップを流しての親子での騒ぎっぷりがとにかくカワイイなので(おじさん、娘たちの将来がすんごく心配だよォ!)、娘たちの交流で"ハートフル"さを厚くしたらギャップイメージももっと落差が出るので欲しかったですね。
それに加え、従兄弟、不倫相手との対人間のドラマも厚くすることでもっと評価を高められそうな"要素だらけ"で、「社会派」にしたいのか「人間ドラマ」にしたいのか中途半端に感じたのが少し惜しい気にさせました…