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アナザーラウンドのsonozyのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
4.0
祝! アカデミー賞: 国際長編映画賞

デンマークのトマス・ヴィンターベア監督作。
原題/英題『Druk(暴飲/酩酊)/ Another Round(もう一杯)』ということで、飲酒がテーマになってます。

湖一周ビール飲み競争〜電車内でもビールで盛り上がっちゃってる高校生たち。
そんな高校の4人の中年教師、歴史のマーティン(マッツ・ミケルセン)、体育のトミー、音楽のピーター、心理学のニコライは、やる気のない生徒たち相手に指導意欲も失せている。

マーティンは集まった親御さんたちに囲まれ、あなたでは進学に不安であると責められたり、家庭でも妻と二人の子供との関係もうまくいっておらず、うつ状態。

ニコライの40歳の誕生日でレストランに集まった4人。ニコライが面白い話をし始める。
ノルウェーの心理学者Finn Skårderudが「人間は血中アルコール濃度(BAC)が0.05%低すぎる状態で生まれているので、0.05%のBACを保てば精神的に良い効果が生まれる」と提唱したと。

翌日、学校に着いたマーティンの話の真偽を確かめるべく、トイレの個室でカバンからウォッカを出して一口飲み授業へ。すると、いつになく気力に満ちた授業が出来、生徒の表情にも変化が。

その話を聞いた3人も盛り上がり、4人で実験を開始。
酒の入ったマグボトルを持参し、アルコールチェッカーで時々チェックしつつ授業中にもクイっと一口。BAC 0.05%キープで授業をすると、教師たちにも生徒たちにも大きな変化が見られ、マーティンは家族の絆も取り戻していくのだが....

撮影が始まって4日後に監督の娘さんIda(マーティンの娘役で出演する予定だった)が交通事故死するという悲しい事態で一度は製作断念しかけたところを、周囲のサポートで完成にこぎつけたそう。

BAC 0.05%理論というのを持ってきて、飲酒の功罪について面白く仕立てた作品でした。
哀愁漂う渋いマッツ・ミケルセン。ジャズバレエ?のダンスも見せてくれます。
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