あでぃくしょんBBA

人数の町のあでぃくしょんBBAのネタバレレビュー・内容・結末

人数の町(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2023.03.30 配信で視聴

amazonでもここフィルマークスでも、高いと言えない評価の本作だが、私はスコアを4.0以下にはできなかった。
ラストをどう着地させるか、脚本担当や監督は相当悩んだに違いない。
どうやったって、こんな設定と展開のラストに現実味を持たせると胸くそ末路にしかならない。
どうせ「そりゃこうなるよね」「ディストピアものによくあるパターン」って反応にしかならないなら、よくあるパターンであっても、制作者たちは観客をちょっとホッとさせる方を選んだんだと思う。

舞台となる施設は、セーフティネットであると同時に収益団体でもある「裏」法人が運営しているようだ。内部で行われている「自由・平等を維持するための決まりと作業」の収益が活動の維持にのみ遣われているなら、政府が秘密裡に「必要悪」と認めた特定非営利活動法人と言っていい。

SNSを駆使したターゲットの評価の爆アゲ爆サゲ、なりすまし投票やヤラセのダイ・イン――収容者らに課されるそれらの作業は現代という時代を反映してとてもリアルである。
さらに、「このまま惨めに死んでいくか、それとも○○を殺して逃げるか」まで追い詰められたことのある人々が、衣食住と安全を手に入れるために与えられた条件を呑み、あらゆる嗜好品がOK、且つセックスも「したい時にしたい人とできる」自由があることで、施設内規範に(自分自身の意思だと信じて)盲従していく過程がさらにリアルだった。

施設にいた乳幼児および壮年期老年期の人々の様子や「この先どうなるのか」を描かなかったのも好感が持てた。
それらを中途半端に描くと120分の枠内では散漫になる。これは監督のクリエイターとしての矜持だろう。

まぁなんにしても、私も一介のブタだなぁと、再認識させられた1本だった。
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