かじドゥンドゥン

もう終わりにしよう。のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
3.0
交際相手のジェイクの車に乗り込み、雪の中、彼の実家(農場)へと向かう女性。彼女はジェイクとの交際を「もう終わりにしよう」と何度も心のなかで反復しつつも、切り出せないままでいる。

長々と続く車内での会話、そしてジェイクの不気味な両親とのちぐはぐなやりとり。最初は「ルーシー」だった女性の名前がコロコロと変わり、彼女の周りの人物が急に消えたり、年を取ったり。

さらに、しばしば差挟まれる、学校の老用務員がダンスの稽古をする若者たちにみとれながら校内を清掃する映像。

女性はその日のうちに帰宅したいと言い張っているにもかかわらず、ジェイクは、紙コップを捨てたいという口実で自分の母校に立寄り、校舎内に消えてしまい、しびれを切らした女性が社外に出て校舎に入ると、例の用務員と遭遇。受賞演説やミュージカル、ダンスなど、非現実的な場面が入れ替り立ち替わり介入してくる。

ストーリーは解明できぬまま。終始女性目線で描かれているけれど、彼女のアイデンティティはかなり不安定で、そもそも名前が変わるし、彼女とジェイクの考えや感情が融合・混濁している場面が多々ある。他方、ジェイクはジェイクとして一貫した名で呼ばれている。映画で描かれたすべてが、実はジェイクの妄想で、「もう終わりにしよう」というのは、女性目線での、交際の打ち切りについてではなく、このように妄想に閉ざされた人生を終わりにしようと、ジェイクが自問しているのではないか。ただし、妄想を続けるかどうかに関する自問を、つまり妄想を俯瞰してなされる問いを、妄想内の女性の思念として表出している点が、妄想の構造として入り組んでいる(?)

よくわからん。もう一度観る必要があるが・・・。