タキ

私をくいとめてのタキのレビュー・感想・評価

私をくいとめて(2020年製作の映画)
4.3
おひとりさまの気楽さと不安感をAというもう1人の自分との会話でコミカルに描きながら30代の女性あるあるを的確についていてくる。主人公以外にもイケメン好きの会社の先輩やヘッドハンティングでやってきたカッコイイ上司、イタリア人と結婚してローマで暮らす親友などいろんなタイプの女性がでてくるので誰かしらに投影して見ることも可能だ。みんなそれぞれに魅力的だし誰のことも否定しないのも心地よい。
大九明子監督の解釈は「勝手にふるえてろ」同様にちょっと考えつかないほど鮮烈で面白い。飛行機のシーンの映像と大瀧詠一の歌がずっと頭の中でぐるぐるしている。なんという中毒性か。個性的がゆえにこれはヘタな俳優を使うと爆死するヤツなのだが、キャスティングがすごくいい。これしかないという上手い布陣にうなる(橋本愛の登場には声がでた)
もちろんキモは主人公みつ子の芝居いかんなのだが、のんは間違いなく憑依型の天才だと思う。一人芝居のシーンがかなり多いのにビックリするほど場が「もつ」のだ。かつての所属事務所ともめて長らくメディアに出てこられなかったのが悔やまれる。もっと彼女のいろんな作品を見てみたい。


綿矢りさ×大九明子対談「誰かと生きることはデフォルトじゃない」
https://sheishere.jp/interview/202012-kuitomete01/

『私をくいとめて』大九明子監督インタビュー。30代からはじまる青春もある
https://ginzamag.com/interview/akikoohku/

最新作『私をくいとめて』大九明子監督インタビュー!「のんさんは職人気質の女優です」
https://eiga-board.com/posts/7260?p=2

綿矢りさ作品の魅力に「ひねくれの肯定」再タッグ・大九明子監督と相性抜群の理由 https://news.mynavi.jp/article/20201218-kuitomete/
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