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ボヤンシー 眼差しの向こうにのhoteltokyoのレビュー・感想・評価

4.3
南カンボジアのとある田舎で多数の家族と貧しいながらも助け合いながら生活をしていた14歳のチャクラ。だが、自身の環境に満足がいかないチャクラは父親に反抗し、お金を稼ぐため、裏で人身売買に精通するブローカーに頼み込み、よりお金の稼げるタイへ密入国しようとする。だが実際に送り込まれた先は劣悪な環境で強制労働をさせられる漁船の上であった。非人道的な扱いを受けながらも、命を守るためにチャクラが取った行動とは・・的な物語。

いや、緊張感すごい。テレビも無ぇ、ラジオも無ぇ、くるまもそれほど走ってねぇ片田舎に満足のいかない14才チャクラ。おらさ東京いくだと危険な橋を渡りつつ、もう後戻りのできないサバイバルダンスが始まる。

タイ側の海上では危険な人間たちが違法まがいな漁猟で生計を立てつつも、その大半が無休は当たり前の強制労働者によるものだと言われている。いや、俳優なのか地元の人間なのか分からないけど、明らかにカタギではない目をした人間達に常にピンと張り詰めた緊張感。うわっと家でしてふわっと戻ってくるような話かと思っていたのだが、そんな次元の話ではなく良い意味で裏切られた本作。

取れたての魚が死にすぎやろというツッコミはさておき、本作をみた後に食べる白飯の美味しさを噛み締めながら、ああ明日も真面目に頑張ろうと思わざるをえない作品であった。チャクラよ、親父に感謝、大地に感謝、クジラに感謝するのだ。
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