YurikoHashimoto

アル中女の肖像のYurikoHashimotoのネタバレレビュー・内容・結末

アル中女の肖像(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

明確な展開はなく、『(恐らく地元で疲れ切った)女性が、お酒を飲むためだけに西ベルリンに来た』というざっくりした設定のみで進行。

ただ、その中でも、"統計学や良識などの象徴"として出てくる千鳥格子3人組や、"当時の社会に認められていない象徴"として出てくるホームレス女性や小人症の方が、呑んでいる主人公の横でスパイスを利かせてくる。

東西ドイツ統一の年に生まれた私には、西ベルリンという土地の事前知識があまりにも無さすぎて、鑑賞後に軽く検索したところ、
西ドイツが首都をボンに置いたことで、西ベルリンは政治的にグレーな部分があり、それ故あらゆる土地からの移民が多く、都市の様相も非常に退廃的であったそうな。

そんな退廃的な雰囲気は、あらゆる場面で感じられる。
そしてそのグレートーン都市には不釣り合いな、主人公の煌びやかな服装・メイク・ヘアスタイル。
何よりも彼女を象徴するようなピンヒールは、この映画の象徴と言っても過言ではない。

また、ほぼ言葉を発せずにただひたすら呑んでいる主人公だが、あたかも彼女の心の叫びかのように飛び交うグラスが割れる音も印象的。

総じて、その時代の"常識"や"倫理観"みたいなものへの皮肉の仕方が面白い。

こんなにファッショナブルで、風刺的な映画は初めてだったので、非常に楽しめました。


(個人的には、
どんな場所であれど、周りが何をしていても、気高く飲む主人公の姿が、とにかくかっこよかったのと、
主人公のファッションが非常に好みで、私も常にあんな風に着飾って、堂々と気高くしていたいなと思いました。)
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